文化庁へパブリックコメントを提出しました


D論発表会も終わり一段落したので、ようやく文化庁へのパブリックコメントをまとめて提出する時間がとれました。
内容は、私的録音録画小委員会中間整理に関する反対意見です。
著作権に関する偏った法整備への動きに対して、また自由な表現活動や批評精神を妨げる政策に対して、強い違和感と嫌悪感を感じていたので、MIAUの呼びかけに応じてパブリックコメントを提出する運びとなりました。
個人のパブリックコメントの影響力など微々たるものかもしれませんが、大きな反対活動の流れを作っていく一助となれば幸いです。

なお、以下のパブリックコメントはインターネット先進ユーザーの会(MIAU)の提出案、およびパブコメ素材等を一部改変して使用させてもらいました。
ネット上の著作権やダウンロード制限などの問題について関心のある方は、ぜひMIAUのサイトをご参照の上、パブリックコメントの提出にご協力いただけるようお願いいたします。

###以下、提出したパブリックコメント全文###

1. 個人/団体の別:個人
2. 氏名:佐々木貴教
3. 住所:***
4. 連絡先:***
5. 該当ページおよび項目名:以下小見出しに記載
6. 意見:5に準ずる

私が意見を述べるのは、以下の3件です。

1. 104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目
2. 105ページの「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目
3. 104ページの「検討結果」の項目

以下、各項目毎に意見を述べさせていただきます。

○104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目

※この項目について反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。

・国際的な法規制の不整合

国際的な法制度の整合性を考慮しなければなりません。インターネットというものはそもそもグローバルなものであり、日本の法律で違法なことが海外で違法とは限らず、またその逆もありえます。海外サイトが正しく日本の著作権法に基づいて適法マークを付ける期待は薄く、そもそも海外サイトを「適法市場」から不当に締め出す事にもつながると考えられます。またプロバイダ免責の違いも問題となります。たとえば、米国サイトがDMCA免責を満たしており米国では合法であれば良いのか、そのようなコンテンツが日本の基準に照らして違法と判断されたりしないのか、といったことがまず先に議論されるべきです。

・著作権者への不当なリスク

ダウンロードが違法化されれば、動画・音楽投稿Webサイトはユーザーが違法ダウンロードを行わないよう、アップロードへの対応が過剰に慎重になり、その結果、著作権者が自らアップロードしている著作を、間違ったクレームにより削除されてしまうような事故が、頻発するようになることは容易に予想されます。弱小の著作権者に不当なリスクを負わせる改正案であると考えます。

・学問・研究・報道が制限される

調査研究目的で情報にアクセスする際に付随する複製は、従来から私的使用のための複製ではないと評価されうる領域です。従来はダウンロードによる私的複製が広く権利制限されてきたことから、大きな問題とはなっていませんでしたが、ダウンロード違法化に伴いリーガルリスクが現実のものとなる可能性があります。これにより、権利者の意向に反するような実態の調査研究が困難になることが予想され、ひいては不偏不党であるべき学問の発展が損なわれることにもなります。

また、報道についても同様の問題が起こることが考えられます。報道については第四十一条における権利制限がありますが、第四十一条の権利制限は「時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物」を複製する場合に限定されており、サイト等の取材過程においてダウンロードする著作物がこの範囲に限定されうるとは必ずしもいえないと考えられ、やはり、ダウンロード違法化によるリーガルリスクが生じる可能性があります。これにより、権利者の意向に反するような実態の報道が困難になることが予想され、自由な報道による民主主義の実現にマイナスになります。

○105ページの「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目

※この項目について反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。

・「合法マーク」は不適切な対応である

「合法マーク」が無ければ違法サイトとしてダウンロードが違法化されるというのは、あまりに非現実的な分別法です。逆に、違法サイトとされないのなら、合法マークには競争を阻害する目的しかなく、その差別的取扱は独占禁止法違反とされるべきものだと考えられます。合法マークは、実際にはYouTubeをはじめとするユーザー主導のサービスを「適法市場」から排除するために、既存レーベルなど既得権者がコンテンツ人気誘導の主導権を回復することを目論んだ、公正な競争に反するものだと考えます。

○104ページの「検討結果」の項目

※この項目について反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。

・潜在的な違法ユーザーという危険性

ダウンロード違法化は、一般ユーザーを潜在的に違法ユーザーとするものであり、これは国民の法規範意識にも合致するものとは言えず、法治国家として非常に好ましくないものと考えます。

・「一億総クリエイター」「一億総ユーザー」の理念と矛盾

そもそも著作権法がその目的とする創作性の拡大は、過去の著作物に多かれ少なかれ影響を受けるかたちで行われるものです。文化庁でもそのことを意識して「一億総クリエイター」「一億総ユーザー」といった理念を打ち出して、政策を立ててきたのではなかったのでしょうか。過去の著作物へのアクセスを狭めるという発想は、これらの高尚な理念に基づく従来の方針とは相反するものであるように思え、自由な表現活動や批評精神を著作権で封じ込めようという思想統制にすら感じられます。過去の作品に依拠した創作は、公表され私的使用の範囲をこえた時点で、いずれにしろその依拠への相当対価を支払うことになるのです。場合によっては原作品以上に市場に浸透し、原作者の利益にも資するような派生作品の誕生の可能性を、あえて潰してしまうような法制度は、日本の国益に適うものと言えるのか疑問が残ります。

###以上###

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