安倍新政権は多極化の波を乗り越えられるか(2) 〜靖国参拝と日中・日韓関係〜
2006年8月15日、終戦記念日における小泉首相の靖国参拝の強行は、冷え切っていた日中・日韓関係をさらに悪化させることとなりました。
安倍氏が今後首相として中国・韓国とどのような関係を築いていくのか、靖国参拝問題にどう対応していくのか、現段階ではまだ全く明らかになっていません。
ただ、基本的に右派思想であるとされる安倍氏による新政権は、潜在的に中国・韓国の反日感情を強める方向に動く可能性を否定できません。
さて、そうした「右寄り/左寄り」の立場についての是非はともかくとして、今日は日中・日韓関係の悪化が世界の政治構造の中でどのような意味を持っているのか、ということを考えていきましょう。
まず小泉首相による靖国参拝の強行が、本来的に何を目的としたものであったのかを考察します。
靖国参拝は表面的には、小泉首相の政治ポリシーを貫いた勇気ある行為、あるいは意味のない単なる小泉パフォーマンスのひとつ、というどちらかの見方になるかと思います。
しかしここでは、日本の対米従属戦略の一環としての靖国参拝、という観点からこの問題を捉えてみることにします。
この場合、特に日本と中国との関係が重要になってきます。
すなわち、米ソの冷戦時代から続く「日米同盟 対 ロシア・中国・北朝鮮」という構図を維持するために、日本は敢えて日中関係を悪化させる行動をとっている可能性について考えてみるわけです。
この発想は決して突飛なものではありません。
これまで強固な日米同盟の後ろ盾があってはじめて、日本はアジアの中で重要な位置を占めてこれたのだと考えるのは、一般に正しいでしょう。
近年中国が急速に国力を伸ばし政治的発言力を強めてきている中、日本は中国と対立しアメリカとの繋がりを強化することによって、アジアでの覇権を守り抜かねばならない。
そのような考えが裏にあって靖国参拝が強行されたと考えるのは、それほど無理のない発想だと思います。
もちろん靖国参拝には小泉首相の個人的動機もあったかとは思いますが、国際政治に大きく関わる行為を首相個人の問題として行うことは、いまやほとんど不可能です。
強烈な親米・従米姿勢を貫くための行為の一環と見るのが妥当だと思います。
さて、それでは果たして安倍氏がこうした小泉首相の反中姿勢を引き継ぐのかどうか。
これは今後のアジアの政治的構図を大きく左右する問題でもあり、私たちはこれから注意して安倍新政権の動向を見ていかなければいけません。
その一方で私たちは、そもそも対米従属戦略が今後国際政治においてどのような意味を持ってくるのか、についても考えていく必要があります。
ということで次回は、冷戦から9.11まで続いてきた世界の二極対立構造と、その中での日本の対米従属戦略について議論したいと思います。
今日はここまで。


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