Extreme Solar Systems II

アメリカのグランドティトン国立公園で、系外惑星に関する国際会議に参加してきました。そのときの模様を写真とともにどうぞ。

Extreme Solar Systems II
日時:2011年9月11-17日

今回の会議の目玉は、なんと言ってもニュース等でも取り上げられた「太陽が2つある惑星」である Kepler-16b の発見でした。
残念ながら(?)会議での発表前にサイエンス紙に掲載されてしまったため、みんな発表30分前にネットでこのニュースを知ってしまったわけですが、それでも発表後は約1分半にわたる大拍手(一部スタンディングオーベーションも)。こういうセンセーショナルな発表を目の前で聴いたのは初めてだったので、なんだかゾクゾクしました。やっぱり「その場」感を体感できるのはいいものですね。

その他で目を引いた発表は、

(1)視線速度法の観測データ(HARPSなど)とトランジット法の観測データ(Kepler)が inconsistent
つまり見つかっている惑星の質量と半径の関係が、予想されるものと異なるということです。やたらと高密度な惑星が多いように見えることが示唆されています。
原因の候補としては、もともと高密度な物質でできた惑星が多いことや、大気が熱膨張で膨らんで見かけの半径が大きく見えていること、あるいは水素ガス大気や氷が蒸発・散逸することで密度が上昇したこと、そのあたりでしょうか。

(2)C/O 比が1以上の惑星が結構たくさんいる
太陽系では C/O = 0.5 なので、これまで系外惑星についてもなんとなく C/O = 0.5 を仮定してきましたが、実際には C/O > 1 が次々と見つかっているとのこと。C/O > 1 になると H2O poor になってしまうため、惑星の組成や Habitability を考える上で C/O 比はとても重要です。
特に中心星と惑星とで C/O 比が大きく異なる惑星系も発見されており、今後は C/O 比に注目した観測や理論研究もおもしろくなりそうですね。

(3)これまでの観測で false positive はほとんどない
意外にも(?)観測データの信頼性はかなり高いそうです。またサンプル数的にも、統計的議論に十分な量がそろったといえるので、観測と理論の一致へ向けて population tynthesis などをさらに精力的に進めていくことができそうです。これは嬉しい。

(4:おまけ)ダークマターを熱源とする Free Floating Habitable Planet
放射性熱源で暖まってる FFP は考えていましたが、まさかダークマターを持ち出すとは(笑
今回の会議のオーラスを飾った嘘のような本当の話でした。


さて残りは恒例の写真集〜。

そんなに広くない会場だったので、前から後ろまで人であふれてます。


会場周辺の景色。国立公園内だけあって、ひたすら続く湿原と壮大なロッキー山脈のパノラマが絶景です。


夕焼けもまた絶景。トイカメラで雰囲気を出してみましたが、それでもあの美しさは伝えきれませんね。残念!


まさかの手書きポスター。大御所だからできる業ですよね〜(笑


朝食。バイキング形式でそこそこ美味しかったのですが、毎日ほとんどメニューが変わらないのがつらい。。


昼食&夕食。ひたすらハンバーガー。2日で飽きました。今回はとにかく食事が厳しかった。
最後の晩餐。奮発してElkのお肉を注文。美味しかったけど、まああの値段なら当然ですよね(ってぐらい高かった・・・)。


そんなこんなで、最高の景色と最悪の食事と共に、充実したよい研究会となりました。

系外惑星関連だと、次の大きなイベントは12月に開かれる The First Kepler Science Conference ですね。僕はこちらの会議には参加しませんが、また新しい大ニュース(いよいよ地球サイズ@ハビタブルゾーン?)が発表されることと思います。
素敵なニュースが飛び込んでくるのを、楽しみに待ちましょう♪

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