異星の踏査(3)館長さんからのごあいさつ

今週の土曜日(10/20)より東大の総合研究博物館において

『異星の踏査—「アポロ」から「はやぶさ」へ』展

が開かれます。

会期:2007年10月20日(土)〜2007年12月26日(水)
休館日:月曜日(月曜が祝祭日の場合は火曜)
開館時間:10:00 – 17:00(入場は16:00まで)
会場:東京大学総合研究博物館(本郷キャンパス)
入場料無料(記念品交換券を希望される方はご連絡ください)
ホームページ:http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2007planetary_geology.html

☆今回は会場となる博物館の館長さんからのごあいさつをご紹介☆

ごあいさつ 林良博

地球以外の天体に探査機を飛ばし,その天体をつぶさに調査する「惑星科学」という学問分野をご存知でしょうか.私たちが異国へ旅をしますと,その国の文化に触れながらも,自国の文化や歴史の特徴を再認識することがあります.惑星科学とは,異星に広がる世界を調べることで,私たちが生きる地球とはどういう星なのかを知る,という学問分野なのです.

科学技術の進歩は,惑星探査にも革命的な変化をもたらしました.次々と新たな探査機が打ちあがるさまは,かつての大航海時代を彷彿とさせるほどです.船舶を改良し新航路を発見することで,ヨーロッパ諸国が様々な交易品を獲得したように,探査機の発達は地球外天体に関する膨大なデータを人類にもたらしています.博物学は,新大陸における自然の多様性を観察することで発達しました.天体が見せる百般の姿は,太陽系科学における博物学的な新たな幕開けを予感させます.広がりゆく惑星科学分野の最先端の成果と,そこから今まさに導き出されんとする地球の起源への鍵を,実際に世界の最先端で研究をおこなっている研究者らが直接社会に伝えること.これこそが本展示の目的であります.

探査機が撮影した天体の姿は美しく,見る者を惹き付けてやみません.着陸機が降り立った火星の表面には,どこか地球の砂漠に見える風景が広がっていました.本展示では,こうした精細で美しい探査画像をご紹介いたします.しかしどんなに華々しい画像に囲まれたとしても,一粒の標本が持つ迫力にはかなわないと私たちは考えました.宇宙の標本——これまで人類が直接標本を取得した天体は,月とビルト第二彗星しかありません.本展示では,アメリカ航空宇宙局や九州大学,アリゾナ大学の協力を得て,この2つの天体の貴重な標本を初めて同時に公開できる運びとなりました.星のかけらというとロマンティックに聞こえますが,実際はどれほど泥臭い物なのか,実物をご覧になり,異星の実体を感じていただければと思います.

折しも近年,日本の探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワを観察することに成功し,惑星の材料である小惑星の形成過程を解明するという,素晴らしい科学的成果を挙げました.「はやぶさ」は宇宙からの第三の岩石標本を抱いて,地球への帰路にあります.さらに先月,月探査衛星「かぐや」が無事に打ち上げられ,着々と観測の準備が進められています.秋の夜空に輝く月に向かう「かぐや」もまた,私たちがこの星に住む理由を解く端緒となるデータを送り届けてくれることでしょう.日本の惑星探査がまさに花を咲かせようとするこの時期に,本館がかかわる研究成果をあわせて本展示会を開催できる運びとなりましたことは,喜ばしい限りと考えております.

最後になりましたが,アメリカ航空宇宙局,九州大学,国立極地研究所,スミソニアン博物館,アリゾナ大学をはじめ,本展の開催にあたりご協力をいただきました関係各位・機関に対しここに改めて深く感謝の意を表します.
(全文引用:「異星の踏査」展 「ごあいさつ」

今回の展示会がいかに貴重でかつ有意義なものであるかがよくわかりますね。
地球や我々自身をもう一度見つめ直すためにも、地球外の天体や物質を眺めたり調べたり感じたりすることはとても大切なことだと思います。

宇宙に思いをはせると同時に自分自身へも思いをはせる、そんな素敵な展示会になってもらえると嬉しいです。

ぜひ足をお運びくださいませ♪

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