Thursday March 23rd 2017

卒業論文・卒業研究指導

石川裕之「M 型星まわりの Habitability」(2015年度)

河瀬哲弥「新手法(WPH)による月形成のシミュレーション」(2014年度)

村山俊「N 体シミュレーションを用いた連惑星の形成」(2014年度)

芝池諭人「冥王代における後期重爆撃による大陸の破壊と溶融」(2013年度)

冥王代すなわち約 40 億年前より以前にできた岩体は世界中のどこにも見つかっていない。しかし近年、冥王代の放射性年代をもつジルコンを含む堆積岩が発見され、冥王代にはすでに大陸地殻があったと考えられるようになった。この大陸地殻は、いったいなぜ消えてしまったのだろうか。消失の原因として冥王代末期の天体衝突の集中「後期重爆撃」による破壊や溶融が挙げられるが、定量的な推定はあまりなされていない。本研究ではこれを解析的に計算する式を導出した。具体的には、後期重爆撃を Cataclym, Soft-Cataclysm, Standard の三つのモデルで表し、冥王代の大陸地殻が掘削される量と溶融する量を推定した。推定方法は、以下の通りである。まずは、月面の巨大衝突盆地(Cataclysm モデル)のデータと、力学的数値シミュレーション(Soft-Cataclysm モデル)および月面のクレーター数密度(Standard モデル)を定式化したものから、小惑星のサイズ分布を考慮して後期重爆撃の規模を推定した。小惑星のサイズ分布は、実際の観測によって与えられた分布を累乗近似し、ベキ指数をパラメーターとした。このベキ指数によって、結果は大きく変化した。そして最後に、クレーターのスケーリング則を用いて、大陸地殻の破壊と溶融を推定した。推定される量は、総掘削体積、総溶融体積、掘削および溶融領域による地球表面のカバー率、の四つである。結果としては、後期重爆撃のいずれのモデルであっても、いくつかの巨大衝突によって大陸成長曲線と同程度の体積を溶融する可能性はあるが、溶融領域が地球表面を覆うことはできないとわかった。冥王代の大陸地殻は地球表面に点在していたと想像されるため、これら全てが溶融されるとは考えにくい。すなわち、後期重爆撃によって冥王代の岩体の消失を説明することは困難である。



佐藤貴央「系外巨大ガス惑星周りのハビタブルムーンの形成とその安定性」(2012年度)

太陽系外惑星が発見されるにつれて、それらの中に生命居住可能(ハビタブル)な惑星は存在するのか否かという問題は重要なテーマとなってきている。そのなかでも、本研究では、系外巨大ガス惑星周りに存在していると考えられる系外衛星の生命居住可能性について考察した。系外衛星がハビタブルであるために必要な衛星質量の下限値が先行研究(Williams et al. 1997)によって見積もられており、ガス惑星の潮汐による熱フラックスを効果的に受ける場合は地球質量の0.12倍、効果的でない場合は地球質量の0.23倍の衛星質量が必要であると考えられている。そこで、本研究ではガス惑星がハビタブルゾーン内に存在した時、これらの質量を保持した衛星(ハビタブルムーン)の形成可能性や軌道安定性を複数の先行研究をもとに検証した。その結果、形成についてはその起源である周惑星円盤の温度構造から、衛星が形成される場合、岩石衛星になりやすいことが示唆できた。また、軌道安定性についても恒星からの潮汐力による影響や、ガス惑星のタイプII軌道移動の影響を受けることなく、ハビタブルゾーン内で安定して存在していられることが示唆できた。よって本研究から、ハビタブルゾーン内に巨大ガス惑星が存在した場合、その周りにはハビタブルな衛星が存在している可能性が高いことが示された。



上田翔士「内部海を持つ地球型惑星の生命居住可能性」(2011年度)

系外地球型惑星と思われる天体や宇宙空間を漂う浮遊惑星が発見され始めている昨今、生命居住可能な系外地球型惑星や浮遊地球型惑星が存在するのかどうかということは非常に重要なテーマである。そういった状況の中で、表面が全球凍結しているが氷の内部が地熱によって溶けて、表面が氷に覆われた海 (内部海) が出来ることが分かっており、内部海の生命居住可能性について数多くの研究がなされている。本研究では惑星内部からの熱フラックスによって、惑星進化のタイムスケールで内部海を保持する系外地球型惑星・浮遊地球型惑星について、惑星質量・中心星からの距離・惑星表面の水の量・放射性熱源の量をパラメータとしてふり、議論した。地球と同質量で温室効果がない系外地球型惑星は 1AU において地球の 0.5-8 倍の水を表面に持つ場合、または地球の 0.4 倍以上の放射性熱源を持つ場合に内部海をもつことが出来る。8 倍以上の水を表面に持つ場合は、内部海の底に高圧氷が生じてしまい、ハビタブルでなくなる。内部海をもつ条件というのは質量依存性が高く、質量が地球の数倍の場合、内部海を保持する可能性が大きくなる。地球と同質量で温室効果がない浮遊地球型惑星は地球の 2-8 倍の水を表面に持つ場合、または地球の 2 倍以上の放射性熱源を持つ場合、内部海をもつことが出来ることが分かった。8 倍以上の水を表面に持つ場合は、上と同様にハビタブルでなくなる。海惑星よりも内部海をもつ地球型惑星のほうが系外惑星や浮遊惑星において一般的であることが示唆されたため、研究や探査の際に海惑星以上に内部海を持つ地球型惑星にも留意しなくてはならない。



尾花勝太「木星トロヤ群形成に対する土星成長の影響」(2010年度)

木星の軌道上には、2つの小天体群が存在する。これらは、木星トロヤ群と呼ばれ、ラグランジュポイントの L4 と L5 付近に存在している。木星トロヤ群の形成シナリオは2通り考えられているが、未だにどちらのシナリオが正しいかを決定づける有力な理論が存在しない。そこで本研究では、片方のシナリオに注目し、本当に木星トロヤ群が形成可能なのかを再考した。具体的には以下の通りである。観測によって、L4 木星トロヤ群のサイズ分布の特徴のひとつとして、「直径約 5km 以下の小天体のサイズ分布の傾きが小さい」ことがわかっている。この特徴を説明可能とされている Marzari & Scholl (1998) の研究は、特定の状況のみを扱っている。よって、惑星形成論の立場から見ても妥当と言える様々なパラメータを用いて、彼らの主張を確かめた。特に、土星がガスを集積する位置やタイミングに妥当な範囲の極値を与えた。その結果、本研究で与えたすべてのパラーメータにおいて、Marzari & Scholl (1998) の主張は確認できた。しかし、一部の計算では、木星トロヤ群自体が形成されなかった。