自分自身の半生の振り返りとして、今後の再読・再視聴のための備忘録として。
途中までしか読んでいない作品(「失われた時を求めて」など)は載せていません。また、基本的に1作家・1アーティストに対して1作品だけを選んでいます(そうしないと、江國さんだけで本10冊とか、みゆきさんだけでCD10枚とかになってしまうので)。
ご覧になられる方にも、なにかしら新しい出会いのきっかけとなれたら幸いです。各作品へのコメントも随時書き加えていく予定です。
(最終更新日:2021/12/31)
また、最近の読書記録をこちらに Notion でまとめています。
マイベスト本50
日本文学・小説
江國さんの書く文章の全てが好き。正気と狂気の境界を、優雅に軽やかに駆け抜けることばたち。目の眩むような日常の深淵。ゆるゆると流れる時間の中に、濃密なエッセンスを流し込み、見えなくなるまで全体にゆったりと溶け込ませる。この巧さ、大胆さ。天才。
日本近代文学の最高傑作。文章の密度・行間の密度が桁違いに高く、一見さんお断りの空気が全身を包む一方で、常連相手には最高の時間を与え続けてくれます。高校生のときに出会って以来、繰り返し繰り返し再読を重ねてきた座右の書。
思春期に読むべきか読まざるべきか。夭折した天才詩人の夢と狂気。あちら側とこちら側の境界ギリギリで、凛とした美しさを保ち続ける、叙情詩の極北に位置する不滅の作品。声に出して読むことで、中也の精神世界をわずかながらでも共有してみたいものです。
アンドロイドが語る、機械とヒトの千夜一夜物語。「物語」の力を信じるあなたへ、そして「物語」の力を信じたいあなたへ。SFが苦手でも大丈夫(僕もそう)。とにかく騙されたと思って読んでほしい。一夜にして世界の色が変わる、そんな読書体験を全ての方に。
男女を問わず圧倒的な共感を集めた、「ソナタ的」恋愛小説。るり子と萌の2つの異なる主題が、くっついたり離れたりしながら美しい旋律を紡ぎ、その上に男たちの独奏が軽やかに乗っかっていきます。最後に爽やかに主題が解決されていくさまもお見事。
海外文学・小説
世界中のミステリ作家に影響を及ぼし続けてきた、古典中の古典ミステリ。本書のプロットを軸に書かれたミステリ多数。本書へのオマージュとして書かれたミステリ多数。本書をパロディ化して書かれたミステリ多数。この本を読まずしてミステリを語る事なかれ。
文学史上最も有名な「父殺し」。ドストエフスキーの思想を多重に編みこんだ譜面をもとに、空前絶後のポリフォニーが響き渡る。ベートーヴェンの「第九」を聴いた後に「実はこれは第一部で、未完成の第二部の方がメインとなるはずでした」なんて言われたら…!
新書
心が荒んだとき、生活が乾いてきたとき、折にふれて読み返したくなる座右の一冊。子どもたちへは詩の世界への入門書として、大人たちへは愛読詩との再会書として、これからも末永く読み継がれていくべき珠玉のジュニア新書。自分の感受性ぐらい自分で守ろう。
絵本・児童書
漫画・その他
マイベスト音楽・映像作品50
クラシック音楽
グールド以外のピアニストによる演奏は、グールドの演奏と比較されるためだけに存在している。音楽解釈の多様性を訴えてきたグールドは、自らの音楽が「絶対的」なものとなることにより、皮肉にも音楽解釈の多様性を失わせる結果を生んでしまった。
人類の至宝。偉大な遺産。不滅の名盤。歴史的録音。ありとあらゆる賛辞が送られ続けてきた、究極の「第九」。あまりにも特別な演奏すぎて、もはや一個人には客観的な評価などできる気もしないわけですが、まあとにかく全てがスゴイです(語彙力)。
1991年8月19日、旧ソ連クーデター勃発当日。不安・緊張・興奮・希望の入り交じった「革命」。録音終了から2時間後、モスクワ放送局は戦車部隊に占拠される。緊急非常事態下で奇跡的に残された入魂の演奏は、自由を求める旧ソ連の芸術家たちの心の叫びである。
邦楽
エンドレスリピート。終わることのない世界。位相のずれたパラレルワールドで繰り返し提示される黙示録と NEW WORLD。何度君と出会い、何度君と歌い、何度君と愛し合ったのだろう。まわるよまわる。おわるよおわる。世界はエンドレスリピート。
「私の母は中島みゆき」学生時代にハガキ職人だったときのペンネーム。僕は胎教がみゆきさんでしたからね、年季が違います。ちなみに、日本で70年代・80年代・90年代・2000年代と4世代でオリコンチャート1位に輝いた女性アーティストは中島みゆき、ただ一人。
洋楽
その他音楽
20世紀最大のチェリストであるパブロ・カザルスが、ケネディ大統領に招かれてホワイトハウスで披露した歴史的な演奏を収めた名盤。特に最後の「鳥の歌」は、数え切れないぐらい何度も聴き、数え切れないぐらい何度も涙した、僕にとって大切な一曲です。
10代にして技術・音楽解釈・表現力、その全てを極めた、日本が世界に誇る、そして20世紀が21世紀に誇る、不世出の天才。しかしその神童は、日本と米国の間で非情な運命に翻弄され、破壊されてしまった。今はただ、残された僅かな録音に耳と心を傾けるのみ。