D. Valencia, D. D. Sasselov and R. J. O’Connell, Radius and Structure Models of the First Super-Earth Planet, ApJ 656, 545-551 (2007)
Super-Earth の内部構造をいくつかのモデルのもとで計算してやって、将来の観測結果から Super-Earth の内部構造が推定できるようにしよう、という論文です。
○背景
Super-Earth らしい惑星の観測
・Rivera et al., ApJ (2005):GJ 876d, 7.5Me
・Beaulieu et al., Nature (2006):OGLE-2005-BLG-390Lb, 5Me
・Lovis et al., Nature (2006):HD 69830b, 10Me
本論文の目的:将来 Super-Earth がトランジット観測できたときのために、質量ー半径の関係を内部構造を計算することで求める
○モデル
GJ 876d について8つの内部構造モデルを考える
(1)Earth-like, Fe Core (2)…, Fe(FeS) Core
(3)Rocky, CMF = 80%, Fe Core (4)…, Fe(FeS) Core
(5)Ocean, IMF = 20%, Fe Core (6)…, Fe(FeS) COre
(7)Ocean, IMF = 40%, Fe Core (8)…, Fe(FeS) COre
CMF: Core Mass Fraction, IMF: Ice Mass Fraction
計算式やパラメータ等は論文を参照
○結果
図2:Super-Earth の半径ー密度グラフ
それぞれのモデルで計算した惑星半径(km)とそれから言えること
(1)10786 (2)10914
(3)9228 (4)9580
(5)11890 (6)12014
(7)12448 (8)12576
・基本的に Rocky Planet か Ocean Planet かで半径が大きく異なる
Ocean があると地表面に低圧の氷の層ができて、それが半径を稼ぐ
・半径は他のパラメータにはあまり依存しない(robust parameter である)
図5:潮汐加熱の影響は少ない
○不確定要素
実験結果を外挿して超高圧・高温下での物理量を与えている点
→ いろんな場合を考えてみても、200km 程度の見積もり誤差しかないはず
ここでもやはり惑星半径は robust parameter である
○将来の観測への期待
Super-Earth をトランジット観測できれば、半径から惑星のタイプが推定できる
特に Iron-rich planet か Ocean planet かを判別できる可能性が高い
○メモ
数値計算のパラメータや状態方程式にいろんなものを用いているが、それぞれの特徴を知らないので、モデルの妥当性がわからない
惑星半径がコアのサイズだけによる、という可能性は以前から考えていたが、水が大量にある場合に惑星半径が膨れ上がることは考えていなかった(こちらの方が面白いね、盲点)
Super-Earth のトランジットが見つかると、また一気にこの分野の研究が進む
それまでに理論予測はやれるだけやっておくべき
Leave a Reply