うちの研究室の学生さん1名が修士論文を無事に提出しました。2年間の研究生活、おつかれさまでした。以下に修士論文のタイトルと概要を載せておきます。(過去の修士論文指導については、こちらを参照してください)
峰平政志「時間進化するキャビティを伴う周惑星円盤でのぺブル集積によるタイタン形成」
木星と土星の衛星系には主要衛星数やその質量分布において大きな違いがあり、その形成過程にはコンセンサスが得られていない。本研究では、Shibaike et al. (2019) が木星のガリレオ衛星系に対して提案した「微惑星捕獲+ ペブル集積」の枠組みを土星系に適用することを試みた。まず、衛星形成時に土星磁場が弱く、周惑星円盤にcavity が形成されないと仮定し、原始惑星系円盤から捕獲した微惑星の成長および軌道進化を計算した。その結果、現実的なパラメータの範囲では、捕獲された微惑星はタイタン質量へと至る前に土星へと落下してしまうことが分かった。この結果を踏まえ、我々はcavity 半径が時間進化するモデルを導入した。cavity 半径と惑星半径、ロッシュ限界の位置関係を考慮すると、土星磁場の強度に応じて3 つのシナリオに分岐する。磁場が弱い場合、捕獲された微惑星のほとんどが土星へ落下し、タイタンに対応する単一巨大衛星を残すことは困難である。また、磁場が強く、常に大きなcavity が維持される場合、migration が停止するものの過度な成長が起こりやすく、加えて系内には複数の衛星が捕獲されやすいため、この場合もまた土星系の再現は困難である。一方、中程度の磁場強度の場合、初期に捕獲された微惑星はcavity が存在しないため落下し、cavity が有効になる後期に捕獲された微惑星はcavity の縁で効率的にペブルを集積し成長できる。これにより、タイタン級の衛星が1 個だけ残り得るようなパラメータが存在することがわかった。これらの結果は、時間進化するcavity と中程度の磁場強度の組み合わせが、土星系においてタイタンのみが巨大衛星として残存することを説明し得る有力な候補であることを示唆する。

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