号泣する準備はできていた 江國香織(新潮文庫)

大人のための短編集。
あるいは、大人な時間を過ごすための短編集、とでもいいましょうか。
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特別なイベントや派手な事件が起きるわけでもなく、平凡な時間が淡々と流れていく作品ばかりです。
それぞれの話に登場する女性たちは、人並みに波乱のある過去を抱え、人並みに希望(絶望)のある未来を見つめながらも、今はただ現在をそのまま受け入れて淡々と生きています。

そんななんでもない日常の中での、ほんのちょっとした非日常。
それは普段とはちょっと違う行動だったり、ちょっとした違和感だったり、ふと思い立ったことであったり・・・。
この本は、そうした日常の中でのかすかな揺らぎを切り取ってきては、大切に包装して読者にプレゼントしてくれます。

読み終わってから特に印象深く心に残るような作品ではありませんでしたが、ゆったりとした時間の中で大人な気分を味わうために読んでみるのも悪くはないでしょう。

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