文字通りため息のでるような男と女のすれちがい短編集です。
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どうして男と女はこんなに分かり合えないのか。
それぞれの短編を通していろんな恋愛の形、すれちがいの形が出てきます。
でも個人的には、やっぱり男が女の気持ちを分からなさすぎるんだと思うんですよね。
以下は、最初の短編「口紅」の中のひとコマです。
「女は男の気持ちがわかるのか」
「わからないわ。でもそれは、わからないんじゃないの、わざとわからないようにしてあげているの」
「何だ、それは」
「男の気持ちがわかるって、女に言われたら、あなた嬉しい?」
「嬉しかないさ。だいいち、わかるはずがない」
「ね、そういう結論になるでしょう。だから、わざとわからないようにしてあげているのよ」
どうですか。
女性の屁理屈、あるいは思い上がりだと思いますか。
僕はこれって、ある程度女性の本音だと思うんですよね。
男の僕がこんなこと書くのもアレですが、うんざりするような男にうんざりしている女性ってたくさんいるんだろうなあと思うわけです。
でも、それが分かっていても恋愛をせずにはいられない。
どんなダメな男でもどんな残酷な女でも、性懲りもなく惹かれ合ってしまう。
でも唯川さんはそんな彼ら彼女らの恋愛を、優しく愛おしく描いてくれています。
女性の恋愛小説家の懐の深さを感じる一冊ですね。
ぜひたくさんの男性にも読んでもらいたいです。
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