むかし僕が死んだ家 東野圭吾(講談社文庫)

ミステリ作品はその性格上なかなか読書日記を書きづらいところがあるのですが、今回はちょっと変わり種なので書いてみることにします。
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本作品はかなり特殊なミステリ作品です。

内容は比較的ストレートなもので、恋人の過去を探るために古い屋敷を探索していき、その過程で様々な謎解きがなされていく物語となっています。
何も考えずに読めば、何事もなく普通に楽しめる本です。
というか、そもそもそういう風に楽しむ本なのかもしれません。

が、この本をミステリの一種だと思って読むと、ちょっとばかり考えさせられる作品でもあります。

本書が極めて特殊である点は、完全に本格推理小説の技法に則って書かれているにもかかわらず、作品そのものが全く推理小説では無いというところです。

謎の提示、文中での伏線、解決の論理性、読者に対するフェアな記述、さらには叙述トリックやアリバイトリック、結末の意外性に至るまで、徹底して本格推理的な構成になっています。
しかし、どう考えてもこれは推理小説ではない。
(というか推理小説だったらネタバレが怖くて読書日記なんか書けません)

東野圭吾は本格推理小説の枠組みをうまく利用した(あるいは皮肉った)作品をたくさん書いていますが、もはや推理小説であることすらを放棄した推理小説としての本作品は、ミステリファンとしてはやはり一読の価値ありだと思います。

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2 Comments

  1. 東野圭吾は好きで、短編以外は、大抵は読んだと思う。

    この本は、、、、、内容はほとんど忘れてしまったけど、
    確かに、普通一般的な「推理小説」、とは、違うよね。

    東野圭吾の作品、って、推理小説、、、、
    単純な、謎解き、と言う意味での推理小説ではなく、
    結構、人間を描いている作品が多いと思います。

    あたしは「白夜行」が一番大好きな作品だよ〜。

  2. >そえちゃん
    僕も東野作品はけっこう読みました。
    初期作品は普通のミステリが多いのですが、途中からメタミステリというかアンチミステリというか、ギリギリのラインで勝負している作品が増えてきましたね。

    あと「白夜行」や「秘密」のような、ミステリではない作品も秀逸。
    僕も「白夜行」は大好きです。
    ドラマにもなったけど、初回(子どもの頃のシーン)は見事でした (TuT)

    ホントに多才な作家さんだと思います。

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