本日より東工大・東大GCOE「地球から地球たちへ」の特任助教になりました。
所属や居室はこれまでと同じですが、新たな気持ちで研究・教育に取り組んでいきたいと思います。
このGCOEプログラムのテーマは「生命を宿す惑星の総合科学」です。
また「地球から地球たちへ」という言葉には、「地球」(the Earth)に関する私たちの理解を、宇宙に存在する多くの「地球たち」(Earths)に拡張する、という思いが込められています。
地球惑星科学・生命科学・天文学の横断的分野結合によって、宇宙における惑星や生命の多様性を理解するという壮大なテーマに挑んでいきたいと思います。
個人的な研究・教育の方針について、提出した研究計画・抱負を以下に転載しておきます。
地球惑星科学・生命科学・天文学の分野横断的なアプローチにより、生命を宿す惑星の形成と進化に関する研究、および宇宙における生命進化の一般性・多様性に関する研究を行いたい。過去に上の3分野全てにおいて研究を行った実績があり、今後はそれらを総合することで、全く新しい学際的な研究を進めていくことが可能であると考えている。具体的には、大きく以下の3つの研究を行う予定である。
(1)太陽系外惑星系も含めた多様な惑星、特に地球型惑星の形成について:惑星形成論をもとにしたモンテカルロシミュレーションを行う。基本的な数値計算コードについては、既に過去の研究で作成済みである。今後は、本GCOEプログラム拠点リーダーの井田茂教授との共同研究により、原始惑星系円盤におけるスノーラインの移動を考慮した計算や、円盤内側での環境の違いによる多様な地球型惑星の作り分け、あるいは原始衛星系円盤における衛星形成の一般化など、ハビタブルプラネット(ハビタブルムーン)の形成と進化に重要なテーマについて、より詳細な研究を行いたい。
(2)地球型生命の基礎システムとしてのバクテリアの生態系について:数理生態学の基礎理論をもとにした数値計算を行う。バクテリアの生態系そのもの、あるいはバクテリアと周囲の環境との相互関係を記述できる「妥当な」数理モデルは未だ存在しない。過去の研究で動物と植物の相互関係をモデル化した経験をもとに、バクテリアの生態系、および生態系と環境との相互作用が記述可能な、より一般化された数理モデルを構築したい。また、本GCOEプログラム生命班の黒川顕教授との共同研究により、構築した数理モデルの実際のバクテリアの生態系への適用、および測定データからの数理モデルへのフィードバックを行い、現実の生態系を表現できるモデルの完成を目指したい。
(3)地球型惑星の表層環境進化と生態系進化の相関について:(1)の研究をもとに、形成された地球型惑星の表層環境、特に大気と水の量や成分について計算・議論する。また(2)の研究をもとに、惑星の表層環境と生態系の間の相互作用について計算・議論する。これらを総合し、惑星の表層環境の進化や変動が生態系の進化や変動に与える影響を調べ、宇宙における生命進化の一般性や多様性、あるいは特殊性を明らかにしたい。
一方、教育に関しては、本GCOEプログラムの研究教育に積極的に取り組み、他分野の学生との共同研究も行っていくことで、学際性・実行力・国際性を持ち、分野横断的な複合科学を切り拓く、広い視野を持った次世代研究者の育成に力を尽くしたい。また学部での講義や一般講演などを通し、本GCOEプログラムの成果をはじめとした惑星や生命に関する最新の知見、および学際的研究の魅力や重要性を伝えていく活動についても、積極的に携わっていきたいと考えている。
初心を忘れず、原点を見失わず、日々の研究教育活動に励んでいきます。
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