S. Udry, X. Bonfils, X. Delfosse, T. Forveille, M. Mayor, C. Perrier, F. Bouchy, C. Lovis, F. Pepe, D. Queloz, and J.-L. Bertaux, The HARPS search for southern extra-solar planets XI. An habitable super-Earth (5M+) in a 3-planet system, A&A, preprint
先日世間を騒がした「最も地球に似た惑星」についての論文です。
まだ preprint version なのですが、とにかく速報性の強い論文なのでまとめておきます。
○イントロダクション
M dwarfs は低質量なので、軽い惑星を検出しやすい
M dwarfs は放射エネルギーが小さいので、habitable zone が中心星に近い(~0.1AU)
○Gl 581 について
(1) HARPS で観測した M dwarfs の中で最も活動度が小さい → ノイズが小さい
(2) 光度が安定している → ノイズが小さい
(3) メタリシティ([Fe/H]比)が小さい → 低質量の惑星を作りやすい [Ida & Lin, 2004]
○Gl 581 周りの惑星系
図1:惑星1つを仮定すると13日周期に大きな残渣のピークが出る
図2:惑星2つを仮定すると84日周期に大きな残渣のピークが出る
→ 13日周期の惑星と84日周期の惑星の存在を新たに示唆
図3:3つの周期成分に分けた場合の観測値と理論曲線がよく一致
図4:全ての成分を足し合わせた場合の観測値と理論曲線がよく一致
表1:離心率有り or 無しの場合の3つの惑星の推定される物理量
(1) Gl 581c は habitable zone (0.073AU) に位置する 5.03M+ の super-Earth
推定表面温度は -3℃ (金星のアルベドを仮定) 〜 +40℃ (地球のアルベドを仮定)
(2) Gl 581d は 0.25AU に位置する 7.7M+ の super-Earth
○まとめと議論
(1) M dwarfs の周りでは巨大惑星よりも低質量の惑星の方が観測されやすい
(2) solar-type stars と比べて M dwarfs の周りでは低質量の惑星の観測割合が高い
低質量でメタリシティが小さい Gl 581 に軽い惑星が見つかるのは、理論予想と調和的
#Gl 581c はこれまでで最も「地球に似た」惑星である
#生命の存在可能性も含め、今後最も注目される惑星のひとつになることは間違いない!
いやあー。わくわくしますねえ!
専門知識はないけども
夢が膨らむばかりです。
最近はこういった科学分野のニュースがあまり注目されていない気もするけれど、宇宙関連のニュースの日常を忘れられることもあり、いつ見ても楽しい!
>かっきーさま、おのぼりさま
コメントありがとうございます!
論文要約はもともと自分用のメモのつもりだったのですが、けっこういろんな方に「惑星科学研究の雰囲気がわかっておもしろい」と言ってもらい、ちょっと意外な感じです (^^)
最近惑星科学系のニュースがちょくちょく飛び込んできているので、また新しい情報が入ってきたらこまめに記事を書きますね♪
これからもよろしくです。