痛み分け政権

先日ドイツ総選挙から3週間の空白をおいて、キリスト教民主・社会同盟の党首メルケル氏がドイツの新首相に就任した。
これは初ものづくしの歴史的な出来事であった。

ドイツにおける初の女性首相、旧東ドイツ出身初の首相、そして社民党との間の2大政党による「大連合」政権の誕生。
わずか4票差でしかもどちらも過半数に達しないという選挙結果をうけ、首相を含めた16閣僚ポストを同盟と社民党で半分ずつ取り合うこととなった。
両党の政策の違いをうまくすりあわせていくこと、これが今後のメルケル政権の最大の課題となるだろう。

政策の違いが最も大きく出ているのは、低迷を続けるドイツ経済の立て直しに関する対策についてである。
同盟が規制緩和による自由競争の促進を掲げているのに対し、社民党は社会的公正による景気の回復を狙っている。
完全に逆ベクトルの政策の中に、どのような接点や妥協点を探っていくのであろうか。

また、外交的にはイラク問題とトルコの EU 加盟問題が大きなテーマである。
同盟側は基本的に親米路線を取っているが、相次ぐテロとアメリカ批判により、民意は反米に傾きつつある。
一方、社民党はトルコの EU 加盟に賛成の立場を取っているが、トルコ加盟が EU に与える影響が非常に大きいため、まだまだ国民の賛同を得られていない。

いずれにしてもこの大連合は、身動きのとれない「自己矛盾的」な政府となってしまっている感がある。
今後のメルケル首相の対応に注目していきたい。

さて、ドイツの状況とは全く逆に、日本では自民党が選挙で圧勝し与党で安定多数を上回った。

身動きのとれないメルケル政権に対し、自由に独裁を布くことのできる小泉政権。
どちらも非常に不自然な政権であることには違いない。
とにかく、政治そのものまで不自然なものになってしまわないよう、十分気をつけていただきたいものである。

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