宗教の壁は崩壊するか

先日トルコの EU 加盟への交渉が始まった。
トルコの EU 加盟が実現すれば、西側諸国とイスラム諸国との間にひとつの大きな架け橋ができることになる。

しかし、その道のりはまだまだ平坦ではない。

交渉がようやく始まったとはいえ、実際にトルコが EU の仲間入りをするには、今後10年以上はかかるであろうというのが一般的な見方である。

もちろん最も大きな原因は宗教の違いだ。
「キリスト教コミュニティ」である EU にとって、イスラム教国家であるトルコの加盟を簡単に認めるわけにはいかない。
しかもトルコの人口は、現在の EU 加盟国の中で最大の人口を持つドイツに次いで多く、今後もその人口増加が予想されていることを考えると、イスラム教国家が EU 内最大の国家となるおそれがある。

また、経済的問題や人権問題、さらにはキプロス共和国承認問題など、その他の様々な問題もトルコの EU 加盟の障壁となっている。
これらの問題を一つ一つ解決していくことは、トルコにとっても EU 側にとっても非常に大きな時間と労力を要するだろう。
互いによほどの覚悟を持って臨まない限り、トルコ加盟を拒絶したオーストリアのような国が今後も現れる可能性は高い。

だが、交渉がうまく進まず EU がトルコの加盟を拒絶し続けるならば、それは西側諸国がイスラム諸国を対等に扱うつもりがないということを暗に意味することとなり、よりキリスト教国家とイスラム教国家との間の溝は深まることとなるだろう。

EU は国境を超えた「統合体」のお手本である。
次はぜひ宗教の壁を超えた「統合体」として、新しいグローバルスタンダードを世界に示してほしい。

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