羅生門・鼻 芥川龍之介(新潮文庫)

たまには古典も。
芥川龍之介なんて何年ぶりでしょうか。
久しぶりに昔の友達に再会した感じ、なんかドキドキしますね☆
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ただ旧友と久しぶりに会うと、自分の成長を(あるいは成長していないことを)はっきりと映し出されてしまうので、ちょっと恐ろしい面もあります。
本の場合、特に古典作品はその意味で最も恐ろしいといってよいでしょう。

例えば石原千秋氏の言葉を借りると

「解釈の余地があればあるほど、言葉が多義的であればあるほど、すぐれた文学だとさえ言える。そういう文学が古典たり得る」「未来形の読書術」石原千秋

というわけで、どれだけ深い解釈ができるか、どれだけ文章や構造を多義的に読み込めるか、によって自分の読書力(いやむしろ人間力と言ってもよい)がはっきりと示されてしまいます。
特に芥川龍之介のような短編作品だと、ますますその傾向は強いですよね。

で、読んでみてどうだったかというと。
少なくとも昔々に読んだときよりは、人生の酸いも甘いも味わった(?)今の方がはるかに楽しめたと思います。
ってか、この複雑な感情の変化や心理の揺れなどは、そもそも人生経験の浅い中学生なんかにわかるわけがない、と思うのですがいかがでしょう。
(いや、逆にこういう本をたくさん読むことで、疑似人生経験をたくさん積んだとも言えるでしょうが)

本来はこういう古典作品は定期的に読み返して、その都度深まる味わいを楽しむべきなんでしょうね。
実際には、自分の底が見えそうでなかなか怖くて再読できないんですけど (^^;

そういえば全く成長していなかったところが一カ所。
「邪宗門」が未完作品だったことをまた忘れていました。。
芥川龍之介にしては珍しく長編で、ぐいぐい物語の世界に引っ張っていかれた後、盛り上がりがピークに達したところで (未完) の文字が・・・。

以前に再読したときも、ここでがっくり肩を落としたことを思い出しました。
あぁ切ない。

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