ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」 川崎昌平(幻冬舎新書)

ネットカフェ難民のネットカフェ難民による非ネットカフェ難民のための現場レポート。
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世の中で話題になっている「ネットカフェ難民」が、実際にはどのような生活を送っているのか、気になっている人も多いでしょう。

毎日何をして暮らしているのか?
毎日何を食べて暮らしているのか?
毎日何を考えて暮らしているのか?

そうした疑問に、ドキュメンタリー的なレポートという形で答えてくれるなかなか画期的な一冊。ひきこもりをやめてネットカフェ難民になった著者が、1ヶ月間のネットカフェ難民生活を明るく前向きにレポートしてくれます。ノンフィクション本として普通におもしろいと思います。


ただ、、、実はこの著者、東京芸術大学大学院美術研究科修士課程先端美術表現専攻修了、という長ったらしい(僕が言うのもあれですが)肩書きを持つ “インテリニート” なんですよね。だから一般的なネットカフェ難民とはやや違う (思考|志向|嗜好)を持っていると思われます。なのでこのドキュメントもネットカフェ難民の姿を正しく紹介しているかどうかは怪しいです。しかし逆に言うと、”部外者” が “体験学習” のレポートをしてくれているために、客観的な判断や考察がなされている点は良いのかもしれません。しかも一応それなりに “芸術家” であり “研究者” であるため、時折小難しい “ネットカフェ難民哲学” も披露されており、この点も本書をより読み応えのある面白いものにしています。

現代の日本における「最底辺生活」がどのようなものであるかを知るためにも、一度は目を通しておきたい本です。ただし、こんなに楽観的で楽しく哲学しながら生きてるネットカフェ難民なんて普通はいないはずなので、

「ネットカフェ難民も意外と楽しそうじゃん。彼らは自分でそういう気楽な生活を選んだんだから、別に問題にしなくてもいいんじゃない?」

みたいな誤った認識を持ってしまわないよう、注意して読みましょう。

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