桃―もうひとつのツ、イ、ラ、ク 姫野カオルコ(角川文庫)

「ツ、イ、ラ、ク」でヒメノ文学の独特の世界にツイラクしてしまった方へ。また、これからツイラクする予定の方へ。ぜひこの機会に、2冊合わせてどうぞ。
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14歳の中学生と犯りまくった中学校教師の物語、あるいは、中学校教師とヤりまくった14歳の中学生の物語「ツ、イ、ラ、ク」は、その強烈なテーマとは裏腹に、美しくも哀しい、そして最後にニヤリと笑える、洗練された超一級の文学作品でした。以前の読書日記でも

とんでもない傑作です。
間違いなく日本の文学史に残る姫野カオルコ渾身の一冊。

と激賞していました。まだ「ツ、イ、ラ、ク」を読まれたことのない方は、まずそちらから読んでいただきたいと思いますが、ようやく「ツ、イ、ラ、ク」の続編、というか外伝である本作品を読んだので、こちらについても軽く読書日記を書いておこうと思います。


本作品では、「ツ、イ、ラ、ク」の中で登場した人物たちのその後、あるいは当時から現在に至るまでの物語が、各人物の視点からオムニバス的に語られていきます。その語り口、つまり文章のスタイルはまさに人それぞれで、姫野カオルコの中に複数の人格が存在しているのではないかと疑いたくなるほど。しかも各物語の中での時間の流れ方も人それぞれであり、1粒で何度も美味しい短編集に仕上がっています。

そう、まるで「ツ、イ、ラ、ク」の中の人物たちが現実の世界に現れ、独立して個々人の作品を持ち寄ったかのよう。

姫野カオルコの作家としてのポテンシャルの高さや、人間としての経験値の豊かさを感じさせてくれる一冊だと思います。

この “外伝” だけを読んでもそれなりに楽しめるとは思いますが、やはり超一級品である「ツ、イ、ラ、ク」をまず読んで、その後本作品へと一気になだれ込むというのが、ヒメノ文学への正しい “ツイラク” の仕方でしょう。

2冊ともアマゾンへのリンクを張っておきましたので(記事の上と下)、ぜひ2冊合わせてお楽しみください。

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