惑星科学フロンティアセミナー2007(7/21〜7/24)

北海道はニセコで、惑星科学フロンティアセミナー2007に参加してきました。

このフロンティアセミナーは、惑星科学の最先端の問題について合宿形式でじっくり時間をかけて議論するセミナーです。
今年の講師は北大の圦本先生。
隕石の化学分析を中心に、実験・理論・観測に基づいた圦本流の太陽系起源論・進化論を、2日間計14時間にわたって講義していただきました。

今回のセミナーは参加費を払って講義を受ける形式でしたので、残念ながら内容については著作権の問題上あまり詳しいことは書けませんが、近いうちに 森羅万象学校 資料一覧 のページに、今回の講義のスライド一覧と講義動画がアップされるはずですので、その際にはまたこのブログでも紹介したいと思います。

ちなみにセミナーの様子は以下に画像がアップされています。
https://www.wakusei.jp/news/meetings/2007/2007-07-21/photo/
(著作権は全て日本惑星科学会に属しています)

このフロンティアセミナーは単に知識を増やす一般の大学での講義とは異なり、講師の先生の「世界」や「科学哲学」を感じることができる非常に有意義なセミナーです。
もともとは、修士の学生の飲み会と化していた「惑星科学 夏の学校」を閉鎖して、”おとなが楽しめる”セミナーにしようということで始まったセミナーですが、今のところとてもいい感じで続いていると思います。
これも新しいセミナー立ち上げに積極的に関わってくださった世話人のみなさまのおかげです。
みなさま、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、内容については触れられませんが、今回学んだ圦本さん(=化学者一般?)の科学哲学に関してだけ、簡単に書いておこうと思います。
(自分なりに感じた「圦本哲学」なので、実際には全然違うかもしれません。その点はあしからず。)

1. 細部から全体へ:枠組みをあらかじめ設定せずに、測定データの積み重ねから全体像を描き出す。証明ではなく説明。また、理論的予測がどうであれ、まず何よりもデータを取れるということが最重要。

2. 知っているからわかる:同じものを見ても、それがあることがわかっているから見つけられる、ということがある。一見矛盾しているようだが、これこそモノを見る研究の本質かもしれない。

3. 本当のところは何もわからない:全てはデータを解釈してそうであったと信じているだけ。またそもそもそのデータが何を意味しているのか、本当は何もわかっていない。

結局測定屋さんは、自分の目に意味のあるものとして映っているデータを虚心坦懐に集め、そのデータを拠り所として全体像の説明を行うだけであり、それ以上でもそれ以下でもない、ということでしょう。

それに対し我々理論屋は、彼らのデータを拠り所として調和的なモデル作りに励むのではなく、ひとつひとつの物理過程を支配しているものが何であるのか、をただひたすら研究するべきなんでしょうね。

物理は現象を説明する学問ではない。
現象と現象の間をつなぐ物理過程を明らかにする学問である。

このあたりが結局、Geochemist と Geophysicist との間でなかなか理解し合えないところなんですよね。

これから自分がどういうスタンスで研究を進めていくべきか。
いろいろと考えさせられた研究会でした。

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.




CAPTCHA