暗黒館の殺人 綾辻行人(講談社文庫)

綾辻よ、いくらなんでもこれはやりすぎだろ。
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綾辻の「館」シリーズの集大成。4冊で2600ページの超長編。まさに「ゴシック」と呼ぶのがふさわしい、近年稀に見る巨大構築物。
しかし、、、さすがにやりすぎだよね、これは。

まずとにかく、長い。長すぎる。しかもテンポが遅いから、延々と話が続いていく感じが読んでいてかなり苦しい。最近の綾辻らしいといえば綾辻らしいのかもしれないけど、それでもやはり読者のことを置き去りにしている感は否めない。
#それともこの作品について行けないようでは、綾辻ファンとしては失格、ということなのだろうか。

同じような「4冊組超巨編ミステリ」としては、「人狼城の恐怖」(二階堂黎人)が代表作として挙げられるが、本作品はそれとは全く違う。「人狼城」はあくまでも本格ミステリであり、息もつかせぬ展開で最後のカタルシスまで一気に読者を導いてくれたのに対し「暗黒館」は・・・。

さらに作品全体を貫く「謎」についての解決も、かなり微妙。フェアかアンフェアか。ミステリかアンチミステリか。ここでもやはり「人狼城」が見事に謎の崩壊を提示してくれたのに対し、「暗黒館」の歯切れの悪さが目立つ。
この「”本格ミステリ”そのものへの問いかけ」が本作品の最大のテーマだとでも言うのだろうか。それはさすがに無理がある気がするが・・・。

本作品、綾辻ファンとしては、読まざるを得ない作品であるのは確かです。また「館」ファンとしては、その集大成として非常に感慨深い作品になることは確かです。
それだけに、なんともアンビバレントな読後感を残してしまうのは、やはり残念ですね。

かなり辛口な読書日記になりましたが、まあいずれにしても強烈な読書体験となることは間違いないので、あとは、とにかく実際に読んで、作品の是非については各自で判断してください。
※注:ただし、本作品を読む前に必ず全ての「館」シリーズを読破しておくこと。

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