中山可穂文学の原点。
全てはここから始まりました。
「自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた。」
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印象的な書き出し、印象的な表紙写真、印象的な登場人物。
とにかく強力なインパクトを持った作品です。
特に主人公の王寺ミチルは、極めて強烈でリアルな存在として読者の目の前に立ち現れます。
現実の友人や同僚よりも、はるかにリアルな存在として読者の生活の中に現れ、そして読者のハートを奪っていきます。
読み終わる頃には、王寺ミチルがずっと昔からの知人であったかのような錯覚すら覚えることでしょう。
自分の現実の生活をすらきっと王寺ミチルにかき回されることになりますが、それもまたこの作品の楽しみのひとつです。
時間と心に余裕のあるときに、どうぞお読みください。
さて、少しだけ中山可穂文学全般について。
中山可穂文学は、一般にはレズビアン小説・同性愛小説という括りになるのでしょうか。
そういう点で、万人にすんなりと受け入れられる作家さんではないのかもしれません。
しかし、どの作品も激しく切なくそして限りなく純粋な恋愛小説であり、性差を超えて訴えかける力を持っているものばかりです。
彼女の本の表紙を見て、書き出しを読んで、強く感じるものがある人は、ぜひ覚悟を決めてこの深く哀しく美しい世界に足を踏み入れてみてください。
恋愛観・人生観がきっと変わります。
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ちなみに、この表紙の写真はチェコの写真家 Jan Saudek の The Knife という作品だそうです。