泳ぐのに、安全でも適切でもありません 江國香織(集英社文庫)

山本周五郎賞を受賞した短編集。
様々な女性たちがそれぞれの人生の中で経験した、あるいは経験している蜜のような一瞬一瞬を描き出しています。
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なにはともあれ、まず本のタイトルにやられますよね。
ジャケ買い、もといタイトル買いをしちゃうぐらいに魅力的。
うまいよなあ。

内容は「号泣する準備はできていた」と同じような、ゆったりとした大人の短編集という感じです。

・・・いや、感じでした。
途中までは。

あのですね、正直言って以前は江國さんの短編集はあまり理解できなかったんです。
だから「号泣する準備はできていた」の感想もなんかイマイチっぽい感じになってましたし、今回も表題作の「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」を含め、あまり理解できない作品が多かったです。

福田氏も「悪の読書術」の中で
「エクニを理解できる男はほとんどいない」
と言い切ってましたし、まあそんなものかと思っていたのですが・・・。

ところが、です。
今回ちょっと分かったかもしれない、です。

本短編集の第2話「うんとおなかをすかせてきてね」で、まずクラッときました。
で、その感覚を保ったまま他の話を読んでいくと、他にも2〜3話ほど同じようにクラッとくる作品がありました。

なんというか、こう、何気ない文章にいきなり心臓を鷲づかみにされたような、そんな感じです。
中山可穂さんなどとは違って、文章が見かけ上おとなしいだけに、余計に不意を突かれてクラッときます。

これはたぶん、病みつきになる気がちょっとしています。
もう一度「号泣する準備はできていた」も読み返してみようかと思っています。
今ならエクニを感じることができるかもしれません。

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ところで、福田和也に言わせると
「エクニがわかる・感じる男は、かなり異様というか、男性としてはやや過敏で、むしろ女性の側から見ると、警戒すべき存在かもしれません」
だそうです (^^;

困ったものだ。

☆他の人の記事も読む☆
モーツァルトが流れる小説集(仮)
女子大生naliceのタイムリミット。

2 Comments

  1. はじめまして!WPダッシュボードの更新一覧でこのタイトルを見かけてクリックしてきました。第2話は全体の話というより描写がとても好きです。「動物園」なんか、リズム?勢い?があっていいなあと思います。そんな状況になったことはないのになぜか感情移入してしまいました。

    >これはたぶん、病みつきになる気がちょっとしています。
    って、うれしいですね!
    男性にももっと読んで欲しいなあ。女性のことがより理解できるかも(少なくとも江國さんを好きな女性のことは)。と、いうことで、Sasakiさんには警戒しなくては…。笑

  2. >Naoさま
    コメントありがとうございます。
    江國さんって、女性からは圧倒的な支持を得ているんですよね。
    びっくりするぐらい。
    最近、妙に女性的な本(?)ばかり読んでいるので、ちょっとずつ女性心理が身体に染み込んできている気がします。
    でもそのせいで警戒されたらかなわないなあ(笑

    Naoさんのページにも遊びに行かせてもらいました。
    素敵なデザインだなあと見とれてしまったのですが、なんとNaoさんは「WordPress標準ガイドブック」の著者さんなんですね!
    僕も最近WordPressの素晴らしさを周りの知人に宣伝しているところです。
    もっとたくさんの方にWordPress使ってもらえると嬉しいですよね。
    次からはWordPressを始めようとした人には、一緒にNaoさんの本も勧めますね!

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