車輪の下 ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)

久しぶりの海外古典再読です。
最初に読んだのは中学生頃でしょうか。
懐かしいですね。
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本作品は詰め込み・競争教育の問題点を一種の社会問題として小説化したものですが、そこには様々な人間模様や個性豊かなキャラクター、読者を飽きさせないエピソードの数々が散りばめられており、ただの社会派小説ではなく素敵な文学作品として仕上がっています。
またヘッセの自伝小説としての意味合いもあるため、リアルな心情描写が実現されていて感情移入しやすい作品でもあると思います。

僕が中学生の頃といえば、日本の教育界は70年代から続く受験競争の激化の中で出てきていた様々な弊害に対抗するために、ちょうど新しい教育方針を模索し始めていた頃です。
僕自身はのんびりした公立の中学・高校と進んだので激しい受験戦争に巻き込まれることもなく平穏に10代をすごすことができましたが、それでもやはり時代の受験競争の波を常にどこかに感じながら、そしてそれに反発しながらの毎日でもあったと思います。

そんな当時を懐かしく思い出しながら読みました。

さてそれから十余年。
いまや「ゆとり教育」が主流となり、逆ベクトルの弊害が次々に出始めている今日この頃なわけですが、これから来る反動(詰め込み教育への逆流?)へ向けての備えとして、あるいは昔自分たちが体験してきた受験戦争のメモワールとして、再度この小説を読まれてみるのもおもしろいかと思いますよ。

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