Jの神話 乾くるみ(文春文庫)

あの「イニシエーション・ラブ」で一躍有名作家の仲間入りをした乾くるみ氏の、作家としての原点とも言うべき作品。処女作です。
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この作家さんを語る際には、”あの「イニシエーション・ラブ」の” というフレーズが完全に枕詞となっておりますが、とにかくあの「イニシエーション・ラブ」でひっくり返るほどの衝撃を受けた読者(自分含む)にとって、その作家の処女作と言われちゃあ読まざるを得ませんよ、はい。


舞台は全寮制の名門女子校。いかにも怪しげな雰囲気の高校で、一年前にはひとりの生徒が塔から墜死、そして今年は生徒会長が「胎児なき流産」で失血死。異常な事件が立て続けに発生する中、女探偵「黒猫」が事件の真相を探るべく調査を進めていくと、これらの事件の背後に巨大な「闇」が潜んでいることが次第に明らかになっていき・・・。
タイトルにもなっている「J(ジャック)」の正体とは!?


やや強引な設定と荒削りな展開ながらも、読者を乾ワールドに引き込んでいくその文章力はさすが。ハラハラドキドキしながら一気に最後まで読み切りました。

で、読み終わっての感想。

むーーーー。

いやまあ、メフィスト賞受賞作品なので、一応はミステリなんです。でもあくまでもメフィスト賞なので、ちょっと普通じゃないミステリーであることは予想(覚悟)しなが読み進めました。

・・・でもあのオチはどうよ。

一応ミステリなので、オチについて詳しく書くわけにはいきませんが。。。むーー。

非常にレベルの高い作品だとは思うんですけどね。途中でどうしても「本格ミステリ」的なものを期待してしまったのが間違いでした。(でもこれは、本格ファンとしてはしょうがないんですよねー)

もちろん普通に「一気読みできる面白い本を読みたい」という方には十分おすすめの本です。「イニシエーション・ラブ」ほどの衝撃はないですが、それでもかなり楽しめる良い作品だと思います。

でもあれはないよなあ・・・。

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