パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 海部美知(アスキー新書)

日本よ、いや日本人よ、今こそ開国せよ。
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本書はブログ本です(Tech Mom from Silicon Valley)。しかしブログ本ながら、ほとんど書き下ろしと言ってもよい、中身の詰まった読み応えのある本です。IT時代における、新しい日本人のあり方を、「パラダイス鎖国」の開国として示してくれる画期的な一冊といえるでしょう。

著者は現代の日本について

もう、日本人は海外に行きたくなくなったし、海外のことに興味がなくなったのかもしれない

と感じ、その状態を「パラダイス鎖国」と名付けました。そしてその問題点をひとつずつ丁寧に洗い出し、鎖国状態から抜け出すための「ゆるやかな開国」を提案します。

僕は、現在ネット上で議論される「日本人」と呼ばれる人の中には、2種類の人たちがいると思っています。日本にいて「パラダイス鎖国」に閉じこもっている人たちと、シリコンバレーに行って「厳しいぬるま湯」に浸かっている人たち。彼らの間をつなぐこと、それもゆるやかにつなぐことが、まさに著者の言う「開国」に他ならないのだと思います。

ただ本書は残念ながら思考方法を提示してくれるだけで、具体的な行動の指針を示してはくれません。あとは読者ひとりひとりが、いかに自らを「開国」していくか、自分の頭でしっかり考えていかなければならないでしょう。

ちなみにこの著者、解説で梅田さんも指摘されているとおり、超一流のコピーライターでもあります。そもそも「パラダイス鎖国」という言葉も見事ですが、他にも

「孤高のマイノリティ」
「内なる黒船」
「厳しいぬるま湯」
「軽やかなグローバル化」

などなど、一度聞いたら忘れられない素晴らしいコピーをたくさん生み出しています。これらの言葉を味わえるだけでも、本書は一読の価値があると思います。

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