朗読者 ベルンハルト・シュリンク(新潮文庫)

今年読んだ本の中で、間違いなくベスト3に入ります。
いや、むしろ No.1 だと言ってもいいぐらい。
素晴らしくおもしろい本でした。
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ナチスドイツが残した負の遺産の処理に苦しむ戦後ドイツを背景に、不思議な恋愛関係が描かれます。
そして「戦後」を抱えたドイツの複雑な状況は、ふたりの小さな恋を劇的なドラマの奔流へと引きずり込んでいきます。

あまり書くとネタばれになるのでこれ以上書けませんが、物語の構図・展開・謎・幕引、どれを取ってもほぼ完璧。
全く読者を飽かせることなく、最後の1行まで一気に読み進めさせる力を持った作品だと思います。

ナチスドイツの現実を描き切れていない、という批判も一部ではあるようですが、歴史書ではなく小説ですからね、そんな批判はこの物語のおもしろさの前には無力でしょう。

いやあ、とにかく褒めるべき点が多すぎて、何を書いていいのか分からないぐらいです。
未読の方はぜひ読んでみてください、としか言いようがありません。
ひたすらにオススメします。

ちなみにイギリスの批評家ジョージ・スタイナーは、この本を2度読むように勧めているそうです。
一読したときにはインパクトの強い事件ばかりが印象に残るが、2度目には登場人物たちの感情の細やかさに目が開かれる、とのこと。
僕もまたすぐにでも再読したいです。

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ところで本作品は世界中でベストセラーになった超有名作なんですね。
ベストセラー作品にはロクなものがない、という常識を久しぶりに覆してくれました☆

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