個人的なメモです
「地球型惑星の形成と初期進化の課題」
惑星形成論の現状
基本的シナリオに関してはほぼ共通の認識ができている
原始惑星系円盤からの形成
微惑星集積からの惑星形成
*現在の課題*
重要な細部の検討
円盤形成過程
以前はとりあえず円盤を用意したが、そもそもその円盤をどう作るか?
微惑星形成
70年代に重力不安定による形成が提案されたが、最近その理論が揺らいでいる
重力不安定を起こすためには非常に薄い層が形成されなければいけない
円盤ガス散逸過程
もともと今の惑星の100倍ぐらいの質量の円盤ガスが存在
天王星・海王星形成
形成時間の問題(内側で作って外側へ移動?)
惑星の落下問題
今の理論では全ての惑星が太陽に落ちる
系外惑星を説明するためには惑星の移動の理論は必要
最近10年間で発見されてきた
多様な系外惑星系を説明する惑星形成論が主要な流れ
*今後10年の動向*
系外惑星系探索の進展
TPFなど
→ 「系外惑星系を説明する惑星形成論」が中心課題
地球物理的な惑星形成論にとってはやりにくい時代
系外惑星系
地上・宇宙望遠鏡=天文学的惑星学
直接探査は不可能=地球物理学的観測データの欠乏
地球物理学アプローチは厳しい
#じゃあ阿部研はどうするの?
*惑星初期進化論の現状*
マグマオーシャン=大規模溶融したらしい
コアは初期にできたらしい
大気も初期にできたらしい
という程度以上の統一シナリオがあるように見えない:本気で統一シナリオを考えている人がいないのでは?
#これこそ阿部研がやるべきこと?むしろ全体を見通せる人って阿部さんしかいないのでは?
*統一的進化シナリオの構築*
比較惑星学的進化シナリオ
地球型惑星の多様性の起源を説明しうるシナリオ
形成と一体化した進化理論
結局これからやらなければならないことは・・・
「多様性の起源を理解するための形成・進化論」
しかし!多様性(違い)に注目することの危険性
全く同じものはない=問題が個別化する
個別のものは歴史的記述の対象ではあっても、理論的考察の対象ではない
→なんらかの多様性基準を設けることが必要
多様性の尺度としてのHabitability:
宇宙における地球理解あるいは生命・人間理解という意味で、Habitable Worldの系外惑星系への一般化は将来的に重要
#惑星形成論+初期進化論をHabitabilityを尺度に研究するとして、、、系外惑星系についてはどのみち地球物理学的観測データは得られないのだから理論で押すしかない?サイエンスとして成り立つのか問題が再発
*惑星の多様性の問題*
現在の惑星形成論では地球型惑星・木星型惑星・天王星型惑星の作りわけは可能 [Ida & Lin, 2004]
惑星系の10%ぐらいはHabitable planetsを持っている可能性がある
しかし、金星・地球・火星の作りわけはできていない
Habitableなのは地球だけなのだから、この作りわけまで理解する必要がある
問題点1:観測量
結果は明らかだが、その過程を明瞭に示す観測量に乏しい
多様な観測量は存在するが、それが何を意味しているかが明らかではない
#系外の地球型惑星の観測データを何らかの形で利用することは可能か?いつごろ可能になるか?
おそらく消滅核種などの同位体情報からの情報は増える
→解釈の方法を与える必要
地味だが、系外惑星系も視野に入れて地球型惑星の作りわけの議論を進める必要(誰もやっていないのである意味大きなニッチ)
問題点2:気分
作りわけが、太陽からの距離や質量の違いによってなんとなく分かったような気分になっている
ちゃんと見ると、形成段階にさかのぼるような違いが存在しているように見えるが、誰も注目していない(ニッチだが流行らない)
*形成論+進化論*
形成過程を追っていく中で多様性が生まれていく進化の過程を同時に解いていくことが重要
#玄田さんが作っていたフローチャート的なもの
→個々の分岐の帰結に注目することで多様性形成の必然性と偶然性を探る
重要なのは、金星・地球・火星を作ることにこだわり過ぎないこと、こだわると個別の問題になってしまうのでまずい
多様性を進化的分岐の中に位置づける
ある分岐は場としての必然:理論で理解しうる
中心星からの距離・質量など
ある分岐は偶然:パラメータとして考える
月を作る衝突の有無など
#太陽系以外にサンプルが無い状態で理論的考察をどこまで進めることができるか?
#系外惑星系形成論だってホットジュピター等の観測がなされてから進んだ
#いまは太陽系の地球型惑星を説明するための一般化と捉えるべきか
*水の供給と大気形成*
惑星大気の組成:
地球型惑星はCO2に富む(地球も海と石灰岩を考慮するとH2Oの次にCO2が多い)
地球は非常に水が多い
酸素は地球以外では少ないので生命起源
進化を考える上での軸としての「水」
地球と金星・火星大気を分ける
分化における重要性
テクトニクスにおける重要性
地球の水:総質量の0.027%
全体としてみればわずかな量
天王星型惑星では60-70%は水
地球型惑星の中では非常に多い
火星・金星はもっとずっと少ない(火星は地下に大量の水があるかもしれない)
地球上では他の揮発性物質に比べて多い
太陽や隕石にはH, He, O, C,,, の順で多い
炭素に酸素がとられてしまわない限り、かなり大量の水がつくられるはず
水を得るのは比較的容易
形成過程を考えると大量の水が地球型惑星形成領域でも作られる(町田さんD論)
→水はできすぎる?
岩石と水が適当な量比で存在することが必要
→これはHabitabilityの条件か?
水だけで生命ができているわけではない
他の材料が十分な濃度で存在しなければならない
太陽系の地球型惑星の大気はいわゆる二次大気
相当異なる組成の大気となる
惑星大気が必ず二次大気になる必然性はない
#Super-Earth?
太陽組成ガスの分子組成を計算すると、、、H2OとCOが同量できる(C/H = 1)
H2Oは大量に存在するがCOも多い
→適当に酸化しないと H2O+CO→H2+CO2で水が失われる可能性
*水についての課題*
適量の水が供給される条件
多い場合・少ない場合の進化
供給源の違いが生む効果
C/H比を決める過程
C/H比が異なる天体の進化(金星と地球ではもともとC/H比が違った?)
*材料物質についての課題*
円盤内の惑星材料物質の組成分布
隕石と惑星の関係
隕石とはなにものか?なぜ惑星と違うのか?
系外惑星系へ議論を進めるために乗り越えねばならない課題
K, Na, Rbが地球では枯渇、このメカニズムがまだ不明(大きな天体で失われて、小さな天体=隕石母天体では残っている)
*大気形成論の再構築についての課題*
原始太陽系円盤の中での揮発性物質の分布
原始大気の構造とその性質
固体惑星内部への揮発性物質の分配とその影響
原始太陽系円盤ガスの散逸とその影響
ジャイアントインパクトの影響
集積直後の原始大気の組成
大気散逸
太陽系では起こらなかったメカニズムも一緒に考えて統一的に議論する
*コア形成論についての課題*
ダイナミクス再検討
組成の検討=ダイナミクスとの関係
物理屋さんと化学屋さんの相互理解がなされていない
コアの挙動(ダイナモ)とコア形成の関係
惑星形成についての理論的な予言力を手に入れることが目標(サンプルが少なすぎて観測手法には頼れない)
#科学者のお遊びの域を超えることはできるのか?将来の系外地球型惑星大量観測に期待?
むしろ、きちんとした予言力をつければ、逆にどのような観測が本質的な観測であるかを規定できるかもしれない
(現状は「地球みたいなもの」を探している状況、本当はもっと多様な惑星を観測するための方法論を確立する必要がある)
円盤から微惑星まで進化していく段階での不均一性の起源は本当に空間的なものか?時間的なものではないか?
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