試写会「ユナイテッド93」

「ユナイテッド93」の試写会に行ってきました。

強烈な映画でした。
非常に強い感動を残す映画でした。

内容は9.11のテロに関するもので、目標に到達せずに墜落した4機目の飛行機「ユナイテッド93」の中で繰り広げられた乗客の戦いを描いたものです。
当然、それなりに政治的な背景を含んだ「問題作」でもあります。
しかし、それを超える普遍的な力を持った作品であったと、僕は評価したいと思います。

試写会の前に、東大の国際政治学教授である藤原帰一先生による講演もあり、意図してかせずか、なんとも政治的な雰囲気の中での試写会となりました。

藤原先生はアメリカからの帰国子女ということもあり、ちょっと偏った考え方をされていたように思えました。
少なくともこの映画に対する感じ方というのは、純粋な日本人にとってはやはりどこか微妙な複雑な、何とも言えない違和感のあるものになる可能性は高いと思います。
なんだかんだ言っても、やはりアメリカで作られた映画であることに変わりはなく、ハリウッド映画であることにも変わりありません。

ただ、それでも、この映画の「リアルさ」だけは本物でした。

僕自身びっくりしたのですが、観終わった後に感想を書こうとすると手が震えてなかなか書けませんでした。
帰りの電車の中で本を読もうとしたのですが、興奮が収まらずに1ページも読めずに本を閉じてしまいました。
それほど強烈な印象を残す映画でした。

おそらく観た人のほとんどが感じたことだと思いますが、わざとらしい演出や、いわゆる名場面・名せりふが一切なく、すべてが現実をそのまま切り取ってきたような「リアル」な作りになっていたことが、これほど強い共感(共振)を呼び起こしたのだろうと思います。

もちろん、このような映画の作り方は極めて意図的なものと言ってもよいでしょう。
9.11以降の政治状況・世界感情を考えると、偏った作り方をすることは逆に反米感情を高めるだけであり、中立的にドキュメンタリー的に描くことで、うまく観客の心をつかむように計算されたものであると思います。

それでもなお、この映画の伝える「リアルさ」は他の何ものにも代え難い貴重な映画財産であると言ってよいでしょう。

今月の12日から映画館での公開となります。
内容の評価については人それぞれだと思いますが、あの9.11をもう一度振り返ることは今を生きる我々にとっては非常に重要なことでしょう。

この日記を見られた全ての方へ、「ユナイテッド93」をご覧になることを強くお勧めします。

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