バカのための読書術 小谷野敦(ちくま新書)

久しぶりに出会った愚書。
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著者の定義する「バカ」とは「哲学とか数学とか、抽象的なことが苦手、という人」であり、そうした「バカ」は歴史を学問の中核として読書すべし、というのがおおよその主張です。
そして最終的に読者に訴えるのは、事実(=歴史)をねじ曲げて意見するようなバカにだけはなるな、ということです。

すなわち、難しい本を読んで難しいことを考えるのができない「バカ」は、せめて最低限の歴史(=事実)だけは学んで、根拠のない議論をするようなみっともない真似をするな、ということです。

・・・そっくりそのままあなたにお返しします。

とにかくこの本はひどいです。
論理構成が全くなっておらず、思いつきで書きつづったような文章がダラダラと並び、理性的な議論がほとんどなされていません。

また他人の批判やトリビア的知識の披露がひたすら行われますが、それぞれがしっかりした根拠や事実に基づいていないため、全く説得力がありません。
全ページが「文学オタクの自己満足」みたいな感じだと言えば分かりやすいでしょうか。

これ以上文句を言ってもしょうがないので、Amazon のカスタマーレビューの一つを引用して、この本の味わい方を提示しておきたいと思います。
要は、バカな著者を見て「相変わらずバカだなー」と楽しめばよいのですね(笑

「他人の間違いや無知には厳しいが、自分の間違いや無知にはものすごく寛容」。小谷野氏の著作はこうした姿勢に貫かれている。ただ、こうした姿勢に怒ってはいけない。これは小谷野節の大きな特徴なのだ。まともな読書論として読めば「何だこれは」と腹が立つかもしれないが、それを楽しめるだけの心の余裕があれば本書は本当に面白い。そうした楽しみ方が出来る人々は確実に増えている。
(Amazon.co.jp のカスタマーレビューより レビュアー:あまカラ さん)

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