悪の読書術 福田和也(講談社現代新書)

抱腹絶倒の読書論。
もう最初から最後まで大爆笑です。
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読書術とは言っても、読書の方法についてはほとんど書いてありません。
この本の目指すところは、「社交的な」読書についてです。
これはすなわち、どのような本を読んでいることが自分にふさわしいのか、もっと言えばどのような本を持ち歩いていることが自分にふさわしいのかを考えよう、というものです。
そして、服やカバンなどのファッションには気を遣うくせに、なぜ持ち歩く本に気を遣わないのか、と読者に語りかけます。

こうした著者の主張は、どんな本を読んでいるのかということがそのままその人の内面を明らかに表してしまう、という考えに基づいています。
だから、外見を着飾るのと同じように内面も着飾っちゃおう、というわけです。

この発想は面白い。

外見に惑わされずに内面を見ろ、なんてことをよく言いますが、その内面も意識的に作り上げようというのです。
まさに「悪の」読書術ですね。

ちなみに「社交的な」という観点から本を眺めると、例えばこのようなことになります。

・若い女性が「ローマ人の物語」(塩野七生)を読んでいると、引く
・宮部みゆきの分厚い本を読んでいる女性は、彼氏がいなくて暇なんだと思う
・村上春樹が好きであることは、何の情報にもならない
・ハードボイルドを女性に薦める男は幼いナルシストで、結局モテない

めちゃくちゃですね (笑)

なお、この新書は女性誌に連載した記事をもとに編集したものなので、基本的に女性を相手に語りかけるような文章になっていますが、男女を問わず非常に楽しめる本だと思います。
とにかく面白いので、オススメです。

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