衝撃の「処女三部作」第三部。
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本作品は第一部「ドールハウス」と第二部「喪失記」に続く、姫野カオルコ「処女三部作」の第三部となっています。また、全て姫野カオルコ自身の私小説でもあります(だそうです)。それぞれ独立した作品としても楽しめますが、異なる主題を持った三楽章からなる長編小説として続けて読むのがまっとうな読み方でしょう。
完結編としての本作品では、三部を通しての主人公の成長・成熟、そしてその中で全体を貫く「処女性」が、あらためて印象的に描かれます。またウィットに富んだ文章のもと、知性・美意識・恋愛への批評など、前作までよりも高次元のテーマを内包しつつ、文化としての “ふつう” についての姫野哲学が語られていきます。個人と文化の関係性を処女性の観点から描ききった作品として、非常に完成度の高い三部作完結編となっていると思います。
一方で、処女性をはらむ文学そのものに対する名言も生まれます。
ペニスとヴァギナの話を、無計画に書けば「衝撃的な文学」と称され、ふつうくらいに書けば「艶やかな文体」と称され、計画的に書けば「ポルノ小説」と称され、ていねいに書けば「ロマンス小説」となり、ぞんざいに書けば「恋愛小説」となる
こうしたカテゴライズの可能性は、まさに文化としての “ふつう” のあり様を端的に示していると言えるでしょう。
でも本三部作がどのジャンルに分類されるかと言うと・・・たぶんどこにも分類できない。
ペニスとヴァギナの話を、姫野カオルコ的に書けば「ヒメノ文学」になる。
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