ようやく文庫化されたので、さっそく買ってきました。
「かなわぬ恋」を描いた中編3編。
タイトルからも分かるように、能をモチーフにした中編集になっています。
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内容的には、これまでの中山可穂作品とはやや異なる毛色で、激しい性描写も叩きのめされるような強烈な表現も出てきません。
静かに厳かに、死の淵へと歩みを進めていきます。
しかし、その根底に流れるものは中山可穂文学特有の「死に至る病」としての恋であり「いとしい誰かと手に手を取ってこの世の淵からこぼれ落ちる」ような愛であり、読者は身を切り命を削る恋愛の前に、ただただ圧倒されるのみです。
どうすればこれほど純度の高い恋愛小説が書けるのでしょうか。
どんな恋愛を経験すれば、どんな失恋を経験すれば。
毎度のことですが、本当に中山可穂さんには完敗です。
彼女の作品は好き嫌いが分かれるかもしれないと思い、これまであまり強くオススメはしてきませんでしたが、やはりいいものはいい。
ぜひたくさんの人に中山可穂文学の世界に足を踏み入れてもらいたいと思います。
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シューベルトの後期ピアノソナタ集(ピアノ:アファナシエフ)がこの作品のテーマにぴったりです。
よかったらご一緒にどうぞ♪
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私も弱法師買いました!目的はあとがき読みたさが主にですけど(笑)
久しぶりに3篇を読み返しましたけど、やはり中山可穂さんはすごいと思いますネ。
命を削りながら書いているという表現がまさにピッタリくる作家さんだと思います。
>ソンさん
コメントありがとうございます。
可穂さんの作品は、読者の方も命を削りながら読むことになりますよね。
まとめて読み返すとしばらく立ち直れなくなるので、少しずつ再読を重ねています。
でも今回は一気に読んじゃいましたけど (^^;