3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 城繁幸(ちくま新書)

“昭和的価値観” v.s. “平成的価値観”
[tmkm-amazon]4480064141[/tmkm-amazon]

昭和的価値観を徹底的に叩きのめす、痛快な一冊。前著「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」(城繁幸)を読んでもまだ踏ん切りがつかない若者たちよ、本書を読んで今度こそ目を覚ませ。

叩きのめされる昭和的価値観の一覧は以下の通り(本書目次より)。この目次を眺めて考えを巡らせるだけでも、十分に本書を手元に置く意味があります。目次を眺めた後は、著者と一緒に昭和的価値観をひとつひとつ叩きつぶして、新しい平成的価値観を想像かつ創造していきましょう。

第1章 キャリア編

昭和的価値観1「若者は、ただ上に従うこと」–大手流通企業から外資系生保に転職、年収が二〇倍になった彼

昭和的価値観2「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」–新卒で、外資系投資銀行を選んだ理由

昭和的価値観3「仕事の目的とは、出世であること」–大新聞社の文化部記者という生き方

昭和的価値観4「IT業界は3Kであるということ」–企業ではなく、IT業界に就職したという意識を持つ男

昭和的価値観5「就職先は会社の名前で決めること」–大手広告代理店で、独立の準備をする彼

昭和的価値観6「女性は家庭に入ること」–女性が留学する理由

昭和的価値観7「言われたことは、何でもやること」–東大卒エリートが直面した現実

昭和的価値観8「学歴に頼ること」–会社の規模ではなく、職種を選んで転職を繰り返し好きな道を切り開く

昭和的価値観9「留学なんて意味がないということ」–大手企業でMBAを取得後、安定を捨てた理由

第2章 独立編

昭和的価値観10「失敗を恐れること」–大企業からNFLへ

昭和的価値観11「公私混同はしないこと」–サラリーマンからベストセラー作家になった山田真哉氏

昭和的価値観12「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」–赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生

昭和的価値観13「酒は飲んでも呑まれないこと」–グローバルビジネスマンからバーテンダーへ

昭和的価値観14「フリーターは負け組だということ」–フリーター雑誌が模索する、新しい生き方

昭和的価値観15「官僚は現状維持にしか興味がないということ」–国家公務員をやめて、公務員の転職を支援する生き方

昭和的価値観16「新卒以外は採らないこと」–リクルートが始めた、新卒以外の人間を採用するシステム

コラム(1) 企業に求められる多様化とは

昭和的価値観17「人生の大半を会社で過ごすこと」–職場にはりついているように見える日本男子の人生

昭和的価値観18「大学生は遊んでいてもいいということ」–立命館vs昭和的価値観

コラム(2) 二十一世紀の大学システム

昭和的価値観19「最近の若者は元気がないということ」–日本企業を忌避しだした若者たち

昭和的価値観20「ニートは怠け者だということ」–「競争から共生へ」あるNPOの挑戦

第3章 新世代編

昭和的価値観21「新聞を読まない人間はバカであるということ」–情報のイニシアチブは、大衆に移りつつある

昭和的価値観22「左翼は労働者の味方であるということ」–二一世紀の労働運動の目指すべき道とは)

コラム(3) 格差のなくし方

読んでもらうと分かるのですが、それぞれの昭和的価値観に対する批判、および対抗策(平成的価値観)は様々です。そのため、本書では様々なモデルケースを紹介しながら、様々な角度から 昭和的価値観→平成的価値観 の流れを提案しています。各モデルケースはあまり一般的なものではなく、昭和的価値観のもとで判断するならば、所詮はアウトサイダーたちによるモデルマイノリティの議論をしている、と批判されかねないでしょう。

しかし、実はこのアウトサイダーの集合こそが、平成的価値観の本質であることに我々は気づかなければいけません。

ここが本書の最も重要な点です。すなわち、様々な昭和的価値観を崩していくために著者が提案している様々な方法は、最終的には次の一言に尽きるのです。

それは、「多様化」 です。

年功序列という画一化されたレールに乗り、国民全員が共有する均一の価値観に従って生きる、そんな時代はもう終わりました。いや、終わらせないといけません。各自が新しい価値観を生み出し、それぞれの価値観に従って生きていく日本を作らなければ、もはや若者に未来はないのですから。(このあたりの議論は前著で詳しく述べられています

新しいものを生み出すために、まずは現状をしっかり把握するところから始めましょう。本書は、現状の “昭和的価値観” をまとめるのに最適の一冊です。ぜひみなさんご一読を。

☆他の人の記事も読む☆
さようなるBlog
S-Bot

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.




CAPTCHA