哲学原理 デカルト(岩波文庫)

以前から自然科学者を志す者として一度ぐらいは目を通しておかないといけないだろうとは思っていたのですが、なかなか敷居が高く(いかにも読みづらそうだから!)博士2年の終わりにきてようやく読むに至りました。
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17世紀に書かれた本なので内容的には古くさいところも多いですが、頭の体操として読むのにはなかなか面白かったです。

文庫版では第一部「人間認識の諸原理について」(哲学)と第二部「物質的事物の諸原理について」(自然科学)の2部を読むことができます。
哲学書として読むとまた味わいが異なるのかもしれませんが、僕はあくまでも自然科学者としての立場から本書を読んだので、自然科学書として含蓄が深いところを以下に簡単にまとめておきたいと思います。

まずは自然科学全般における基本的な考え方・科学哲学について

 「被造物の目的因ではなく、起成因を調べねばならない」

すなわち、ある物理を科学的に解析する際には、「神」が何の目的でそうしたかを調べるのではなく、その客観的な原因のみを調べるべし、ということです。

次に自然科学における手法・手続きについて

 「幾何学もしくは抽象数学におけるとは違った原理を、容認もしないし、望ましいとも思わない」

すなわち、全ての科学は数学的手法によって解析されるべきである、ということです。

そして最後に自然科学の基本を成す保存則の概念について

 「神は運動の第一原因であり、そして宇宙のうちに常に同じ運動の量を維持する」

すなわち、なんらかの物理量が宇宙全体に「神の一撃」として与えられた後は、その絶対量は不変でありあらゆる相互作用に対して保存される、ということです。

どれも全て近代科学の根幹を成す考え方であり、デカルトの哲学原理に従って自然科学が発展してきたことがよく分かります。
科学の原点を示している点で、本書は科学者としての脳みそをリフレッシュさせる効果があるかもしれませんね。

ごちゃごちゃ書きましたが、哲学書にしては難解な記述が少なくストレートな論を展開しているので、誰にでも読みやすい本だろうと思います。
どうぞ気軽に読んでみてください。

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