ホリー・ガーデン 江國香織(新潮文庫)

また江國にやられました。
読み終えて一週間ほど経ちますが、いまだにくらくらしてます。
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僕はもともと江國さんの小説は「読まず嫌い」で全く読んでなかったので、最近ようやく読むようになって、どうしてもっと早く読まなかったのだろう、とちょっと後悔していました。
でも、もっと多感な時期に江國文学に触れていたら、かなりキケンだったかもしれませんね。
(あるいは、その頃では江國を理解することはできなかったか)

相変わらずゆるゆると流れる時間の中に、濃密にエッセンスを流し込み、それを見えなくなるまで全体にゆったりと溶け込ませる。
この巧さ、大胆さ。
一見直感的な文章でありながら、確かな意識のもとで描かれた彼女の文章には、毎度の事ながら完璧にやられます。

それからまたいつものことですが、「あとがき」がいい。
最後にもう一度くらくらさせられるのです。

心底惚れ込んでます。
まだしばらくは麻薬的に彼女の作品を読み続けることでしょう。

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ところで・・・
「心洗われる長編小説」
「読者は爽やかな自由の気分をしばし味わうことができる」
という書評・解説はどうなんでしょうね?
むしろ僕は八方塞がりな感じになって、そこにどっぷりと浸かる心地のよさ(精神的引きこもり?)を楽しんでいるのですが。。
まあ読み方・感じ方は人それぞれだとは思いますけど。

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6 Comments

  1. >八方塞がりな感じになって、そこにどっぷりと浸かる心地
    最近の私は特にその状況に拒否感があります。
    その為、己の行動がかなり、享楽的に走っているのは自覚しつつも・・・

    このホリー・ガーデンは読んでいないけれど、
    江國作品にあまり惹かれず、なかなか手に取る気になれなかったのは、
    こういう事だったのだろうか。と、ふと思いました。
    感覚を言葉にするのは難しい。。。さすが、ですね!

  2. >猫ちゃん
    確かに享楽的な気分のときに読める作家さんではないかもしれませんね。
    でもこの麻薬的な気怠さと陶酔感は、一度は味わってみるのもいいものですよ。
    #あ、もちろん実際に麻薬をやったことはないよ?

  3. 江國香織さん、大好きです!初めて「すいかの匂い」を読んで、やられました。

    あの独特な濃密度が大好きです。雨の日とか気分が高まってない時に読むと、小説の世界にどっぷりつかったまんま出られなくなりますけど(高校時代は特にそうでしたが)、その気分をけっこう楽しんでる自分がいたりします。

    他にどの作品、読まれたんですか??私は最近、「流しの下の骨」を読み返してます!

  4. >うち子さん
    江國を同じように感じて読んでる人がいた!o(^-^)o
    僕もトラップされて抜けられなくなるのが怖いような楽しいような、そんな感じで読んでます。

    「流しのしたの骨」もいいですよね〜。
    今のところ僕の中では江國ベスト1の小説です☆

    実はまだあまりたくさんは読んでないのですが、最近読んで日記に残しているのは・・・

    ・流しのしたの骨:http://noinoi.main.jp/archives/216
    ・泳ぐのに、安全でも適切でもありません:http://noinoi.main.jp/archives/135
    ・きらきらひかる:http://noinoi.main.jp/archives/133
    ・神様のボート:http://noinoi.main.jp/archives/127
    ・号泣する準備はできていた:http://noinoi.main.jp/archives/86

    などなど。
    次は最新文庫本「ぬるい眠り」を読む予定です♪

  5. 江國作品、もちろんいくつか読んだことはあるのだけれど、、、
    もどかしく、 いらっ となることが多かったですね。
    書評や帯に惹かれて読んで、八方塞がり感に取り憑かれ、いらっとして、
    でも、しばらくしてそんなことを忘れ、また、帯に惹かれ・・・と、同じ過ちを
    繰り返しているわけです。
    書いていて、我ながら真性の馬鹿なんじゃなかろうかと思えてきました。。。

  6. > もどかしく、 いらっ となることが多かったですね。

    これはねー、同じことを言ってる人が周りにたくさんいますね。
    たぶんこの「もどかしさ」の好き嫌いで江國の好き嫌いが分かれてるような気がします。
    あと、江國さんって何気なく書いているようでいて実はかなり意識的に文章を構成しているところがあるので、敏感な人(敏感すぎる人)はそこが鼻につくというかわざとらしいと感じて嫌いになる人もいるみたい。

    でも、タイトルや帯や最初の一文目の入り方などが非常に巧いので、ついついそれに惹かれて読み始めちゃうところはやっぱりありますよねー。

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