個人的なメモです。
「微小固体粒子を不純物として含む多結晶氷のレオロジー」
氷は塑性変形により流動する
塑性変形とは・・・
外力を作用させた固体が降伏し、外力を取り除いても元に戻らない変形
結晶欠陥の運動(転移すべりなど)
ひずみとひずみ速度について
#Geodynamicsで読んだばかりなので割愛
*本研究の目的*
純粋な多結晶氷の流動則は比較的研究されてきた
[Glen, 1955] [Durham et al., 2001] など
自然に存在する氷には必ず不純物が含まれる(非溶解性・溶解性)
非溶解性不純物に限定しても考慮すべきファクターが多すぎる
組成・粒径・含有率・形状・どこに存在するか・偏析の程度などなど・・・
最後の2つは実験的にコントロールするのが難しいので考えない
#でもこれが本質的なパラメータなのでは?
組成はSiO2を用いる(SiO2の先行研究はいくつかある)
→SiO2が含まれると硬くなるか軟らかくなるか?をまず考えよう
多結晶氷に第2相粒子であるSiO2を分散させたときの流動則を決定する!
*純粋な多結晶氷の流動則*
Glenの法則 [Glen, 1955] ひずみ速度は応力のべき乗に比例する(一般にべきは3)
→ひずみ速度は応力と結晶粒径と温度の関数である
→応力と結晶粒径と温度を変化させて実験を行うことで物質の物理量を決定する
これまでの実験結果を見ると・・・
応力が小さいときは拡散クリープ、応力が大きいときは転位クリープのべきに近い
拡散クリープ(n=1)
体拡散クリープ(結晶内を拡散)
粒界拡散クリープ(境界を拡散)
転位クリープ(n=3-4)
転移クリープにおける重要な問題点
結晶を任意の形に塑性変形させるためには、少なくとも5個の独立なすべり系が必要(フォン・ミーゼスの条件)
→しかし、簡単に動くすべり系は2個だけ(底面すべりのみ)
→同時に起こる別の変形機構が必要(転位の上昇・動的再結晶・プリズム面でのすべり・粒界移動など)
#よくわからん
重要:並列に起こる変形機構は、遅い方に律則される
*超塑性変形*
一定のひずみ速度のもとで飴のように伸びる変形
これが拡散クリープと転位クリープの間にあるのでは? [Goldsby and Kohlstedt, 2001]
粒界すべりが変形に関与している?
*実験の前提とする考え方のまとめ*
3つの変形機構が存在する
拡散クリープ
超塑性変形(粒界すべり)
転位クリープ(これは粒径に依存しない)
2つ以上の変形機構が関わるときには、遅いほうが律則する
転位クリープと同時に起こる変形機構はまだ明瞭な答が出ていない
*氷+SiO2の一軸圧縮実験*
実験結果:1次クリープ・2次クリープ・3次クリープと順に現れる
→どのクリープを見て議論するか?
これまでは2次クリープを採用して議論(本研究でも同様)
#不確定要素:
SiO2を均一に混ぜることは不可能だが、均一だと仮定
氷の粒径をコントロールできていない(これはミクロな振る舞いに大きく影響するよね)
*結果*
応力の大きい領域では純粋な氷よりも氷+SiO2の方がひずみ速度が大きい
SiO2の含有率が大きいほどべき乗則のnの値が大きくなる
(先行研究ではむしろ逆にSiO2が混ざると硬くなる結果が出ている)
[Goldsby and Kohlstedt, 2001] の式と合わせると・・・
純粋氷でいまいち合わない?(この原因がよくわからないのが致命的)
SiO2の含有率が多いときは超塑性変形が無い場合に近くなる?
#岩石の場合は薄片を見て何が起きているかを調べることができるが、氷+SiO2だとテクスチャが壊れるので難しい
SiO2を混ぜた場合で応力が高いときに、何がひずみ速度を律則しているのかがまだよく分からない
#最終目的は火星の中緯度氷の流動のお話
#観測的には流動しているが、ダストが混ざると硬くなるので流動しない?応力が高いと流動する?火星の氷は応力低いんじゃ・・?
#そもそも取りうる温度領域では氷の融点付近を通るので別のメカニズムが流動を律則するのでは?
#火星のデータ(ダスト含有率など)の不確定性が大きいようだが、どうやってアプリケーションする?
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