個人的なメモです。
「天体衝突による脱ガス後の逆反応について」
*衝突脱ガス・逆反応とその影響*
天体衝突 → 衝突天体・地殻からの揮発性成分の脱ガス
蛇紋石 → H2O
炭酸塩 → CO2
硫酸塩 → SO2/SO3
→惑星の大気進化や気候変動に影響
この過程において逆反応が起こると状況は変わる!
*衝突脱ガスとは*
天体衝突による衝撃圧縮とその後の解放(希薄波により断熱的に圧力解放)
衝突脱ガス実験 [Lange and Ahrens et al., 1986]
銃で撃って実験
ショック圧が上がると脱ガス量も増える
脱ガス量の推定 [Pierazzo et al., 1998]
Chicxulub衝突の数値シミュレーション
最大ショック圧を求め、脱ガス領域を推定
*衝突脱ガスの影響*
6500万年前 生物大量絶滅(K-P境界層 #いまはK-Tとは呼ばない)
メキシコ・ユカタン半島に10kmの天体衝突
炭酸塩からCO2?
温暖化 [O’Keefe and Ahrens, 1989]
硫酸塩からSO2/SO3?
硫酸エアロゾルによる日光遮蔽・寒冷化 [Pierazzo, 1998]
硫酸の酸性雨 [Ohno et al. 2006]
惑星のサイズが増加すると衝突速度が増して脱ガス量も増加
→後期隕石重爆撃期の衝突脱ガスが大気組成に影響
*注目*
逆反応が起これば大気中へのガス付加の量が減る
←温度が下がると炭酸塩の分解よりも再製の領域の方へいく
常に逆反応がスムーズに進むとは限らない
逆反応の反応速度 と 蒸気雲の冷却速度 のタイムスケールの兼ね合い
#単純な逆反応を考えているが、バラバラになった成分の間で別のものが作られる可能性もある
#そもそもどのような反応が新たに起こりうるか、を考える必要がある
#水がいっぱいあるけどそれと反応しない?
#水との反応の方が低温で起こるので、まずは単純な逆反応を考える
*逆反応についての先行研究*
炭酸塩の熱分解残留酸化物とCO2の反応実験 [Agrinier et al., 2001]
CaCO3を熱分解して生成したCaOとCO2の反応
CaOは非常に高い反応活性を持つ
非常に短時間で逆反応は起こりうる
*本研究の目的*
逆反応速度を求めることで、どれくらいのCO2, SO2が炭酸塩, 硫酸塩に戻るのかを推定する
*現在までの実験の結果*
実験の目的
反応 CO2 + CaO → CaCO3 でCaOの構造の違いが反応速度や反応量に影響を与えるかどうか、およびその原因を調べる
(Agrinierたちは同じ作り方のサンプルのみ)
以下の3種を使用 #本来はインパクトによって作ったCaOを作りたい
(a) CaCO3熱分解
(b) Ca(OH)2熱分解
(c) CaO試薬
(それぞれ空隙や表面積等が異なるサンプルだと仮定して使用)
(a) Agrinierたちとほぼ同じ結果が得られた
最初に非常に速い反応 ←表面反応が律速?
その後の遅い反応 ←生成されたCaCO3層内の拡散が律速?
←これらの解釈はAgrinierらによる
(b), (c) だと最初の速い反応が終わった後も、それなりの速さでだらだらと反応が進む
→Agrinierたちの解釈が正しいかどうか怪しい
#粒子サイズを変えたサンプルで実験できれば表面反応律速についての解釈がはっきりする
#今はまだできていない
Avrami equation を使って以上の疑問を検証
不均一反応の経験的反応速度式
→結果を見ると最初の速い反応が拡散律速になっている模様
→遅い反応は孔隙の縮小・封鎖による律速?
#これも結局、熱分解した物質を取り出して見てあげれば全て分かるよね?
結論:CaOの構造により反応速度・反応量は変化しうる
→ショックで形成されたCaOを用いた実験が必要!
*今後*
衝撃生成CaOによる実験
SO2の逆反応実験(CaO + SO2 + O2)
SO2の逆反応の方が起きやすく、材料のCaOはCaCO3からもCaSO4からも出るので、SO2の逆反応はどんどん起きる?
#サンプルのキャラクタリゼーションをやることが先決かなあ
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