個人的なメモです
「マグマオーシャンにおけるドロップ状の金属の落下の数値計算」
*なぜマントル中には親鉄元素が多量に含まれているのか?*
地球のコアとマントルの分離過程で、鉄とシリケイトが平衡状態になる
実験で得られた低圧での分配係数では説明できない
→高温高圧で鉄とシリケイトが平衡状態にあった?
#高温高圧下での実験は定性的にはこの説明を支持する
→深さ〜1000kmのマグマオーシャン?
#コア形成後に親鉄元素をふりかけても同様の状況が実現
#この状況とどう分離できるか?
*マグマオーシャン*
隕石の衝突で地球表面が溶融
#温室効果もあるけどね
マグマオーシャン中で金属とシリケイトが平衡状態になっていた [Rubie et al., 2003]
1cmの金属のドロップがマグマオーシャン中を落下する過程で、鉄とシリケイトが平衡状態
→表面積が大きくすぐに平衡化するので、マントル中での親鉄元素の過剰を説明可能
1cmのドロップになる理由:表面張力と抵抗力がバランス
*本研究*
Rubieを流体力学の数値計算で解く
→サイズ、落下速度をきちんと見積もる
#そもそも鉄微粒子は整然と落下するのか?
*思考実験*
ドロップが1cmより大きかったら?
Rubie:200m以内の落下で金属とシリケイトが平衡状態になる→この落下距離をLとすると
ドロップの落下速度はドロップのスケールrの1/2乗に比例
物質の平衡時間はrの1/2乗に比例
→平衡に達するまでの落下距離Lはrに比例
→例えばr=10mでL=200km
ドロップが1cmより小さかったら?
あまり小さすぎるとマグマオーシャンがcoolingする前に下まで落ちきれなくなる
r=1μmとしたら、、、ドロップがマグマオーシャンの下まで落ちるのに10yrぐらい
#lower mantle のクーリングタイムスケールはおよそ100yrぐらい?
すぐに1cmサイズまで分裂できるか?
impactorがすでに分化していると分裂が大変
マントルとコアの初期温度は?
重力エネルギーが熱に変わる際、鉄とシリケイトのどちらにどの程度分配されるかが問題
*シリケイト中のメタルの落下を解く*
表面張力のモデル化
MPS法を用いる(粒子法の一種) [Koshizuka and Oka, 1996; Koshizuka, 2002]
MPS法・SPH法
偏微分方程式を解く(微分演算子を離散化する)
Lagrange的記述
MPS:非圧縮性流れ SPH:圧縮性流れ
数値計算に関して
パラメータη:0.01-1で計算
上下・左右ともに周期境界
#上下の周期境界はどうなの?
*計算結果*
分離のタイムスケールは短い
小さい液滴は上向きの流れに乗ることもある →マントル中に取り残される?
ドロップの平均半径は5mm程度 →Rubieらと調和的
サイズを大きくしたり、計算領域を下に広げたりすると、タイムスケールは短くなる傾向
→どんなに初期サイズが大きくても数秒(?)でcmオーダーまで分裂
#そもそもつりあいを考えたらcmになるのだから、鉄の割合が少ない場合に同じ結果が出るのは当たり前?
#大きいサイズだと分裂のタイムスケールではなく、それぞれの粒の間隔が開くタイムスケールで決まるはず
温度分布も計算
金属の方が温度が高くなるかもしれない?
計算時間をより長くすることで何か分かるかも
#隕石中などの極小鉄微粒子がたくさん落ちてくることを考えると、それはマントルに残らないのか?
#物性値を変えた場合の結果の違いはどの程度か?粘性の違いはあまり効いていない??
#やはり大きな鉄が落ちてくる場合は難しい
#このままではジャイアントインパクトは扱えない
Leave a Reply