個人的なメモです
「星周環境推定に向けたフォルステライト蒸発異方性の実験的研究」
*恒星の進化と物質進化*
恒星の進化サイクルの中で重要な過程:
原始惑星系円盤と晩期星:主系列星と分子雲をつなぐ進化段階
原始惑星系円盤のダスト:惑星の原料
赤外観測による成果:
星周空間では非結晶質フォルステライトが主成分 [Kemper et al., 2004]
晩期星や原始惑星系円盤では結晶質フォルステライトも [Malfait et al., 1998; Honda et al., 2003]
→ガス・ダストをまとった天体周囲では結晶質フォルステライトが多い
フォルステライト吸収ピークの位置は天体によっていろいろ
→結晶の蒸発・凝縮プロセスによる(温度・組成・結晶度・形状に依存)
星周空間は高温・低圧→凝縮・蒸発ともに起こりうる
今回は蒸発プロセスを追う
形状変化による吸収ピーク位置変化に着目
フォルステライト蒸発について
調和蒸発と非調和蒸発
非調和蒸発 [Tachibana et al., 2002]:エンスタタイトなど
調和蒸発 [Hashimoto, 1990; Nagahara and Ozawa, 1996]:フォルステライトなど
→フォルステライトは調和蒸発するので扱いやすい
蒸発異方性がある [Ozawa et al., 1996; Yamada et al., 2006]
温度変化によって異方性が変化?
フォルステライト蒸発についての依存性を調べる実験:
水素圧上昇とともに蒸発速度が上がる [Nagahara and Ozawa, 1996]
蒸発速度は圧力の1/2乗に比例して上昇 [Hashimoto, 1998]
温度変化によるトレンド変化はない [Tsuchiyama et al., 1998]
いろいろ実験したまとめ [Kuroda and Hashimoto, 2002]
→異方性について考慮した実験はない
→形状の変化を知るためにはこの実験が必要
*これまでの試み*
連合大会での発表参照(圧力は水素を増やして上げる)
1535℃:圧力が増すと異方性が変化
1657℃:異方性はあまり変わらない
#この温度による違いはよくわからん
#高温だと面の形状によらずガンガン蒸発するので異方性がなくなる?
自由蒸発+水素との化学反応による蒸発の2つのモードを持つ?
*形状と赤外スペクトルの対応*
以下の3通りを考える
原始惑星系円盤
晩期星
晩期星・高温
定性的なスペクトル変化を見る程度
モデル計算は [Sogawa et al., 2006] を使用
球形から扁平形への変化・水素圧力変化・温度変化の影響を見る
→スペクトル変化は一方向ではない(相対位置・相対強度がいろんな方向に変化)
#結局スペクトル変化は複雑な変化が複合的に起きる、どうやって同定する?
*今後*
低温での蒸発異方性を実験的に決定する
フォルステライトの凝縮異方性を実験的に求める
現実的な粒子形状に対応するスペクトルを計算する
ある形状に対応する温度圧力範囲を制約する
赤外スペクトル観測→ダストが経験した温度圧力環境を推定(これが最終目標)
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