嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん5—欲望の主柱は絆 入間人間(電撃文庫)

まいったね。ここに来てまさかの逆転満塁ホームラン。
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前作(第4巻)の続編、というかミステリ的にはいわゆる「解決編」。前作で疑問に思っていた種々のことが、予定調和的に納得されました。

キャラ立ち完成。プロットの再解釈・再構成も完成。みーくんの内面崩壊も外面崩壊を経て落ち着くべきところに落ち着いて完成。文章の崩壊度が増す中、塗り固められた嘘をひとつひとつ丁寧に剝がしていくと、精巧に構築された入間文学が姿を現します。西尾維新との差別化がどうとか、ミステリとしての仕上がりがどうとか、そもそもライトノベルとしてどうとか、いろいろ批判もあるかもしれませんが、ここまで見事に仕上げてくれたらもう細かいことはどうでもいいんじゃないでしょうか。

4巻突入でやや失速しかかり(読書日記でも酷評していました)、正直もうダメかもと思っていましたが、見事に負の期待を裏切ってくれました。

ラノベおそるべし。入間人間おそるべし。

と言ってもラノベはこの「みーくんまーちゃん」シリーズしか読んだことが無いので、全体を判断することはできませんが(そしてこのシリーズを “ラノベ” と呼んでいいのかも怪しいところですが)、ただこうした特殊な文才を持った若手作家が、ラノベというサブカルの世界でその才能を開花させているのを見るのもまた面白いものです。結構クセになります。

#あっという間にブームが去ってしまいましたが、「ケータイ小説」の世界も熟成するまでしばらく待てれば、こういう新しい表現手法によって独自の世界を作り上げる若手作家が生まれるかもしれません。


表現が多様化し、文化が細切れ化していく一方、(その選択肢の過多が原因でしょうが)最近では逆に一点集中的な低級文化の消費(「××の品格」のバカ売れなど)が多くなってしまっています。たまにはこういうサブカルに身を浸し、多様化した世界を再享受するような文化消費活動も必要なのかもしれません。

なんかぐちゃぐちゃ書きましたが、「みーくんまーちゃん」シリーズは個人的には非常に楽しんでいます。次回作も期待しています。

茜的にもみーくん的にも、嘘じゃないですよ。


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