尾花勝太@卒論指導

1年間指導してきた卒論生の尾花勝太くんが、無事に卒論を書き上げ、無事に発表を終えました。
ということで、簡単ですが彼の卒論の内容について紹介したいと思います。

扱ったテーマは「木星トロヤ群の形成」で、卒論タイトルは「木星トロヤ群形成に対する土星成長の影響」です。

論文要旨(by 尾花勝太)

木星の軌道上には、2つの小天体群が存在する。これらは、木星トロヤ群と呼ばれ、ラグランジュポイントの L4 と L5 付近に存在している。木星トロヤ群の形成シナリオは2通り考えられているが、未だにどちらのシナリオが正しいかを決定づける有力な理論が存在しない。そこで本研究では、片方のシナリオに注目し、本当に木星トロヤ群が形成可能なのかを再考した。具体的には以下の通りである。観測によって、L4 木星トロヤ群のサイズ分布の特徴のひとつとして、「直径約 5km 以下の小天体のサイズ分布の傾きが小さい」ことがわかっている。この特徴を説明可能とされている Marzari & Scholl (1998) の研究は、特定の状況のみを扱っている。よって、惑星形成論の立場から見ても妥当と言える様々なパラメータを用いて、彼らの主張を確かめた。特に、土星がガスを集積する位置やタイミングに妥当な範囲の極値を与えた。その結果、本研究で与えたすべてのパラーメータにおいて、Marzari & Scholl (1998) の主張は確認できた。しかし、一部の計算では、木星トロヤ群自体が形成されなかった。

卒論発表会での発表スライドが公開されているので、以下に載せておきます。

卒業研究

なお、より詳しい説明は本人のブログ記事をご参照ください。

また彼の卒論のPDFファイルをこちらに置いています。
興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧になってみてください。


さて、今回の卒論指導は僕にとって初めての直接的な学生指導となりました。

指導の仕方やペースなどはほぼ手探り状態でしたし、本研究で扱ったいわゆるN体問題についても僕はプロフェッショナルではなかったので、指導教員としていろいろと至らない点も多かったと思います。
またトロヤ群形成論についても一から勉強していく感じだったので、最初のうちはなかなかうまい攻めどころが見つからず、右往左往していることも結構ありました。

それでも、いつも前向きにがんばり、こちらの予想を超える研究の進展を見せてくれる尾花くん(N体計算のコードを1週間ほどで一気に書き上げたときは、本当にびっくりしました!)に助けられ、なんとか一緒に最後まで駆け抜けることができました。

教えることで教えられる、ということもたくさんありますね。
学生さんと一緒に新しいテーマを研究するのもなかなか楽しいものだなあ、と思える一年間になりました。

今回の一連の基礎的な勉強や、試行錯誤、あるいは右往左往が、尾花くんの今後の研究生活に少しでもプラスになってくれればいいなと思います。


そんな「初めての学生」尾花くんですが、残念ながら彼は大学院からは別の専攻に移ることになりました。
とても優秀な学生さんなのでこのままうちの専攻に残って欲しかったところですが、新しい分野で研究をしたいということなので、ぜひまたそちらでもがんばってもらいたいと思います。


最後になりましたが、彼もブログをやっているのでここで紹介しておきます。

「ぽたぽた日記」
http://kachita.blog69.fc2.com/

今回の卒論関係の記事もいくつかあります。

来年からの大学院での研究内容(というか手法)に関わる話題として、

前回AKB総選挙11位だった松井玲奈のキャラクター戦略立案

などは結構気合いの入った内容で、スライドもよくできていると思います。

ぜひ彼のブログにも足を運んでみてください。

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