都知事再選記念(そのことを喜んじゃいませんが)で読んでみました。
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石原氏のデビュー作にして芥川賞受賞作。
どんだけすごいのかと思って期待して読みましたが・・・。
うーん。
当時(1955年)の社会的・文学的状況に対して、非常に革新的で様々な問題を提示した作品であることは確かなようです。
単行本はベストセラーとなり、映画化、そして「太陽族」と言う言葉も生まれ、日本中が「太陽の季節」に振り回されたことも事実です。
ある種の社会現象となった作品であると言ってよいでしょう。
しかしそうした時代背景を抜きにして、一文学として本作品を読んだときーー現代を生きる私たちにはこうした読み方しかできないーーそこに本質的な文学としての力を感じるかというと、これが微妙なんですね。
吉田健一氏が本作品を評して
「これは、体の均斉は取れていて、顔は救い難い痴呆状態を現わした、この頃よく街で見掛ける一群の青年の言行を胸が悪くなるまでに克明に写した作品である」
と述べていますが、まさにそういう青年(=石原慎太郎)が何も考えずに自らの筆力に任せてただひたすら書きなぐったような作品にしか思えないのです。
外側へ向けてのエネルギーは非常に大きいのだけれど、作品の内側へ向けての意識が薄過ぎる、というのが本書を読んでの一番の印象です。
なんだか都知事としての石原氏の印象そのものですね(笑)
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