本の読み方 スロー・リーディングの実践 平野啓一郎(PHP新書)

芥川賞受賞作家でもある平野啓一郎氏による、本の読み方講座です。
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その基本方針は、スロー・リーディングであり徹底したアンチ速読。
とにかく、ゆっくり時間をかけさせすれば読書は楽しい、という立場をとっています。
このあたり、例えば『星の王子さま』なんかと同じようなポリシーを感じます。

彼の提唱するスロー・リーディングとは、量の読書・網羅的な読書から質の読書・選択的な読書へと発想を転換した本の読み方で、作品の奥へ奥へと言葉の森を分け入っていくようなイメージです。
そして、内容を主要なプロットへと還元するような読み方は避け、むしろノイズとしての細部にアンテナを張り巡らせ、作家の意図を徹底的にくみ取っていく読み方を勧めています。

確かに小説を読む場合、特に古典的名作を読む場合には、スロー・リーディングは非常に効果的な読書法だと思います。
ただ、速読に対してちょっと偏った見方をしているために、速読とスロー・リーディングの比較に関しては納得のいかない部分が多々ありました。
速読法に関する本も並行して読んでおけば、それぞれの長所・短所が見えてきてよいかと思います。

ちなみにタイトルにもあるように、本の半分以上が具体的な例文を使っての実践練習に充てられているので、この本1冊でスロー・リーディングをマスターすることが可能になっていてお得です。
いつもバタバタした環境(電車内とか)でばっかり本を読んでいて、ゆっくり味わってスロー・リーディングをする機会のなかなかない人にとっては、スロー・リーディングをちょっと試してみるのにちょうどよい本でしょう。

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