『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する 亀山郁夫(光文社新書)

まず初めに。この本は「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)を読んだ人専用の本です。「カラマーゾフの兄弟」を読んでない人には全く意味のない本なので、注意してください。[tmkm-amazon]4334034209[/tmkm-amazon]

それにしてもよくこんな本を出しましたね。ターゲット狭すぎでしょ。「カラマーゾフの兄弟」そのものですら読んでる人はそんなに多くないのに、そのニッチを狙って新書を出すとは。。

ちなみになぜこんなマニアックな本がこのタイミングで出たかというと、本書の著者である亀山さんが最近「カラマーゾフの兄弟」の新訳版を出して、ちょっとした「カラマーゾフの兄弟」ブームになったからです。亀山さん訳の「カラマーゾフの兄弟」を読んだ人が、まんまとこちらの新書も買わされるという(僕もそうなんですが)一種の抱き合わせ商法になっているのです。しかも内容は本家の最終巻に載せてある「解題」を膨らませただけという、なんとも手抜きな感じの新書になってます。はっきり言って、これはずるい。

でも困ったことに、この新書けっこう面白いんですよね。「カラマーゾフの兄弟」は作品そのものよりも「続編」を想像・空想・妄想する方が断然楽しいというのが定説なわけですが、それを翻訳者がやっちゃってるわけで、これは当然興味深いし面白い。また普通は「カラマーゾフの兄弟」を読み終わっても、こういう「空想」を語り合える友人が近くにいることはなかなかないわけで、本書は空想を共有する楽しみもちゃっかり備えていると言えます。翻訳者がこんな本を出しちゃうこと自体、やっぱりこれもずるい。

なんかねー、とにかくずるいよね。だって最近「カラマーゾフの兄弟」を読んだ人は、この新書も読まざるを得ないんだもん。悔しいけど、オススメ本なのです。特に亀山訳で「カラマーゾフの兄弟」を読んだ人は、必ずこちらも一緒に読んでみてください。「カラマーゾフの兄弟」の魅力が一気に数倍に膨れあがること間違いなし、なので。

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本屋さんごっこ

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